【〈本紙調査〉 円安の影響】 8割超が「海外の原料費高騰」/海外製品の小売企業は影響深刻に(2022年7月14日号)

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 記録的な円安の影響はEC企業に甚大な影響を与えている。本紙はこのほど、EC企業向けに、円安の影響と、商品の原材料や資材などの値上げに関するアンケート調査を行った。アンケートに回答した48社のうち、39社(81.3%)が、円安の影響として「海外産の原材料費の高騰」を挙げた。「海外からの輸入コストの増加」を挙げる企業も26社あった。海外製品の仕入れ販売を行っているEC企業では、円安によって深刻な影響を受けているようだ。香水を扱う、あるEC企業では、海外製のブランド物の香水が、1日約100品目ずつ値上げとなっている状況だという。燃料の価格も値上がりしており、今後、国内の配送運賃の値上げを予想する声も多い。円安の影響は、すべてを巻き込む巨大なうねりとなって、EC業界に押し寄せている。

■記録的な円安

 22年6月30日時点で1ドル=135.5円だった為替相場は、22年7月11日時点では、1ドル=137.5円となっている。たった10日で2円の円安になるほど、円安は急速に進んでいる。1ドル=135円を下回るのは02年以来20年ぶりの水準だ。
 本紙では、22年5月に円安に関するアンケート調査を実施した。同調査では、EC事業を実施する企業に対して、「円安の進行によって、どのような影響がありそうか」「円安により商品原価・資材価格・物流費高騰などの影響は受けているか」「円安の影響を踏まえた対策は」などについて聞いた。健康食品や化粧品、食品、家電、アパレルなど、さまざまなジャンルの商品を扱うEC企業が回答した。
 「円安の進行によって、どのような影響がありそうか」については、回答48社中39社が「海外産の原材料費の高騰」と回答。26社(54.1%)が、「海外からの輸入コストの増加」を挙げた。
 香水のECを展開するミルズ・インターナショナル(本社神奈川県)では、定価2400円だった海外のブランド品の香水が、2800円になるなど、大幅に値上がりしているという。「同じ商品でも、連続して小幅に値上がりしている」(櫻井聡社長)と話す。
 「菓子の包材の価格が今年に入ってから2カ月ごとに上がっており、トータルで30~40%上がった」(菓子通販企業)や、「海外から輸入する生活家電全般が値上がりしている」(家電EC企業)といった声が上がっている。


■商品価格転嫁もいばら道

 原料価格や仕入れ価格、資材価格の値上がりは、今後も続くと予想する声が多かった。
 その要因は円安だけではないようだ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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