【ホームセンターのEC】 店舗を軸にEC戦略進む/ハンズ買収のカインズもデジタル強化へ (2022年1月20日号)

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カインズの「DIYer100万人プロジェクト」の特設ページ。通販サイトとも連携している

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 ホームセンター(HC)業界で、店舗を軸としたEC展開が加速している。21年12月末に、HC最大手のカインズ(本社埼玉県)が東急ハンズ(本社東京都)の買収を発表し、22年3月末に全株式の取得が完了する。買収の背景には、カインズが強みとする商品供給だけでなく、デジタルの部分も含まれ、今後の相乗効果に注目が集まる。HC各社が取り組むEC展開は、店舗を軸とした形が中心となる。店舗数や品ぞろえ、商品開発などを強みとするHCの取り組みは、少なからずEC事業者に影響を与えそうだ。HC各社のECやデジタル戦略の進捗についてまとめた。

■PBとEC強化

 東急不動産HDは21年12月末、子会社である東急ハンズの全株式をカインズに譲渡する契約を締結したと発表した。22年3月末の譲渡が完了後に、両社の戦略が明らかになりそうだ。
 東急不動産HDは、東急ハンズの今後について、「EC化の浸透や競合他社の観点から、PB(プライベートブランド)商品やECの強化が必要」とする。その上で、「昔からのファンが多く、店舗を通してDIY教室などを積極的に展開してきたのが東急ハンズ。このブランド力の向上も踏まえて、カインズの提案が当社にとって最適だと判断した」。今後の戦略は、カインズ側が主導して進める。「東急ハンズの成長の鍵は、PB、EC、DIYの三つがポイントかもしれない」としている。


■オムニチャネルを推進

 カインズは「他社のネット通販と競争するというよりも、顧客からの視点が大事。ネット通販とリアル店舗の垣根をいかに低くできるかという点に注力する」(同社)と説明する。オムニチャネル化を進めていく方針も示している。
 カインズは暮らしを良くする方法としてDIYを提案する。DIYユーザーの裾野を広げ、新たな暮らしの文化として根付かせていくことを目標に事業展開している。19年1月には、「デジタル戦略本部」を新たに立ち上げ、デジタル施策を着々と推進している。
 同社が取り組むデジタル戦略は、既存店舗に来店した顧客の体験についてもデジタル技術を用いている。デジタルとリアルをシームレスにつないで、新たな購買体験の提供を目指す「イノベーションストア構想」が根底にある。

(続きは、「日本ネット経済新聞」1月20日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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