【インタビュー】〈創業以来、18期連続増収〉ジュピターショップチャンネル 篠原淳史社長/次のビジネスモデルを模索

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篠原淳史社長

篠原淳史社長

ジュピターショップチャンネル(本社東京都、篠原淳史社長)の15年3月期決算は、売上高が前期比2・8%増の1365億2500万円、純利益は同4・0%増の145億900万円だった。売上高は創業以来、18期連続で増収を達成。純利益は過去最高益を更新した。前期の業績要因や今期の事業計画を篠原社長に聞いた。

「家電祭」の売上は1日で約13億円

 ─15年3月期は前期比2・8%の増収でした。増収要因はやはり、商品力、番組力、オペレーション力の強化に尽きますか。
 「毎年言い続けているが、それに尽きると思っている。商品、番組、オペレーションのそれぞれが絡み合い、全体として出来上がっていくものだ」
 ─以前、自身が社長を務めている間は「増収基調をとめたくない」とおっしゃっていました。さすがに前期は消費増税の影響もあり、正直ほっとされたのでは。
 「増税直後の第1四半期は苦労したし、いよいよ(増収維持が)危ないかなと思うのと同時に、『いや、みんな頑張ろう』という感じだった。商品、番組、オペレーションの『基本に忠実に』と言い続けているのは、それをやっていくことで従業員の力が蓄積されると思っているからだ。前期も第1四半期は苦労したが第2四半期できっちり戻してくれたし、それが第3四半期の特別番組である『アニバーサリー』でしっかり結果を残し、年間を通じて増収を達成できた。2・8%という増収率は増税の影響を受けたため、例年ほどの成長率ではなかったが、そういう中でも成長できたのはやはり蓄積のたまもので、それによってわれわれのお客さまが、しっかり支えてくれたことだと思っている」
 ─5日間にわたった「アニバーサリー」ですが、予算的にはいかがでしたか。
 「日によってアップ、ダウンはあったが、ほぼ予算通りだ。家電だけを24時間紹介した『家電祭』も大きな山だった。従来、ビューティーデーやファッションデーといったカテゴリーデーはやっていたが、家電はやったことがなかった。家電担当のバイヤーたちが頑張り、1日で約13億円を売り上げるなど『アニバーサリー』に迫る結果を残した」
 ─純利益は前期比4・0%増の145億円、営業利益は同0・1%増の222億円でした。営業利益の増益率が少ない印象ですが。
 「収益力という意味では償却前のEBITDA(減価償却前営業利益)で見ているので、それで見るとかなりの増益となっている。基幹システムのカットオーバーが13年にあって、14年はフルに償却がかかっているので償却負担増があった。純粋な営業利益では結構伸びている」


ネット上での生放送をテスト

 ─現在進行中の中期経営計画(中計)では、ECの強化や海外市場での展開を掲げています。前期におけるこれらの取り組みは。
 「海外市場ではタイでの事業が動き始めてからちょうど1年半くらいになる。当初は現地におけるクーデターなどもあって出足はくじかれたが、1年半やってくる中で売上高は前月対比で2~3割増える状況になり、ようやく軌道に乗り始めてきたところだ。今年はどこまで売り上げを伸ばしていけるのか、重要な年になる。ECについてはこの2年間、ネット限定商品の充実を図っており、その売り上げは確実に増加している。テレビでは本日の目玉商品を『ショップスターバリュー(SSV)』と銘打って紹介しているが、ネット限定商品でも『SSV』を紹介している。ネットの『SSV』を紹介するにあたり、そこだけを生放送でやろうということで、4月からテストオペレーションに入っている。不定期だが週1回、1時間、手探りでやっているが、順調に結果を残している」
 ─ネット限定商品の特徴は。
 「テレビでオンエアしている商品と、うまくコーディネーションできる商品ということで、ファッション系が中心となっている。オンエアしている商品との関連性の中で、ネットで買ってもらえる品ぞろえを強化しており、ブランドによってはだいぶネット限定商品を増やしているものもある。ネットによる生放送が24時間・365日できるようになれば、テレビの第1チャンネルとネットの第2チャンネルという両チャンネルを持つことができる」
 ─今年1月、御社が上場すると報じられましたが、真相は。
 「報道を見てびっくりした。上場については何も決まっていない。年明けの報道だったので、どこの賀詞交歓会に出席しても『おめでとうございます』と言われて困った」

(続きは「日本流通産業新聞」7月23日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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