【東京大学大学院 薬学系研究科医薬政策学 五十嵐中客員准教授】 <「PRISMA声明2020」とは> 「論文1本SR」には理由付けを(2023年10月12日号)

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 消費者庁は25年4月、「機能性表示食品の届け出等に関するガイドライン」の改正を行い、システマティックレビュー(SR、研究レビュー)に「PRISMA声明2020」に準拠することを盛り込んだ。医療統計学の専門家である東京大学大学院医薬学系研究科医薬政策学の五十嵐中(いがらしあたる)客員准教授は、「『PRISMA声明2020』に準拠すると、届け出時にこれまでグレーだった部分を、より明確化して届け出る必要がある。現在は、機能性を評価する論文が1報しかない機能性表示食品も多いが、今後は査読付きで、かつSRの作成過程を明示しなければ、論文1報のみのSRは通らないだろう」と話す。五十嵐客員准教授に話を聞いた。

■グレーを白にする

 ─「PRISMA声明2020」とはそもそも何か。
 ヘルスケア領域における研究報告を統合する「システマティックレビュー」について、より厳しい基準で、研究の手法や結果の書き方を規定したガイドラインだ。これまでの機能性表示食品の届け出ガイドラインでは、「PRISMA声明2009」に準拠することが求められていた。「2020」では、「2009」よりも、研究の内容をよりはっきり詳しく記述することが求められている。
 「2009」で白だったことが黒に変わるような違いはないが、より明確に記載することが求められる。
 ─どういった点が、「2009」よりも厳しくなるのか。
 例えば、SRで機能性を評価する論文を検索する際に、「どんな論文のデータベースで、どのように検索したか」を記載することが求められる。論文の検索方法は、データベースごとに異なるが、その検索式を記載することを求めている。
 「効き目の物差し・アウトカムを定義する」ということも求められている。

(続きは、「日本流通産業新聞」10月12日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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