【シーボン Web事業部 青木里織部長 マーケティング戦略課 稲葉理子マネージャー】 <コロナ禍の戦略とは>サロンスタッフ巻き込んだDXで打開(2023年3月16日号)

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シーボンのマーケティング戦略課 稲葉理子マネージャー(写真左)、Web事業部青木里織部長

シーボンのマーケティング戦略課 稲葉理子マネージャー(写真左)、Web事業部青木里織部長

 化粧品メーカーのシーボンは、サロンを通して商品とアフターケアを提供することで、顧客のスキンケアニーズに応え、成長してきた。コロナ禍には、サービスの強みであるサロンを全店休止しなければいけない事態に陥った。その窮地を救ってくれたのが、フェイシャリストと呼ばれるサロンのスタッフと、シーボンをこよなく愛する顧客だったという。サロンで培った資産をどのようにECサイトに活用したのか、スタッフや顧客の声を生かす際の工夫などについて、Web事業部の青木里織部長と、マーケティング戦略課の稲葉理子マネージャーに聞いた。

 ─コロナ禍には、サロンが営業できない状況もあったと思います。その危機にはどう対応しましたか。
 青木 コロナ禍の実店舗の営業自粛要請を受け、全国のサロンを一時休止しなくてはいけない状況になりました。当社製品を販売するメインチャネルであり、サービスの強みでもあるサロンが営業できない状況になり、対応策を考えました。
 そこで注目したのがECサイトです。ECサイトはコロナ禍前まで、サロンに通うお客さまがさまざまな事情でサロンに通えなくなった際に、オンラインでも購入できるようにするためのチャネルという位置付けでした。
 ECサイトは製品や仕組みをご存じの会員さまが利用することを想定していたため、コンテンツが少なく、初めて利用するお客さまや、サロンの代わりとなるサービスを期待するお客さまにとっては物足りない状況で、コンテンツのてこ入れが急務となりました。
 ─どのようにECサイトのコンテンツを拡充したのですか。
 青木 コンテンツを作成するには、時間やコスト、リソースが必要です。短期間にコンテンツを拡充するため、サロンのフェイシャリストや、お客さまの力を借りることにしました。
 ECサイト上で販売スタッフがオンライン接客を行ったり、お客さまのSNSの投稿をECサイトなどに活用するUGC(ユーザー生成コンテンツ)が成果を上げていることを知り、当社でも導入したいと考えたのです。
 サロンがメインの企業ですので、コロナ禍で来店客が減少している中、強みであるフェイシャリストをいかに活用できるかが急務でした。オンライン接客で成果が上がれば、お客さまにとってもフェイシャリストにとっても良いことだと思いました。
 ─スタッフに投稿を促すため、工夫したことは。
 青木 投稿を始める前に勉強会を行って、どんな内容にすべきか、見られやすい内容とは、写真の撮り方や投稿にあたってのコンプライアンスを含めた勉強会を行いました。会社の代表として自信をもって投稿してもらうためにも、事前の勉強会は欠かせません。
 開始当初は現場経験のある本社スタッフや商品開発のスタッフ、トレーニングスタッフなどから参加してもらい、投稿を開始しました。
 マーケティングツールで投稿経由の売上高などを把握できます。投稿結果は10日に1回くらいのペースで参加しているスタッフに共有しています。
 コンテンツを投稿するフェイシャリストは、サロンで販売を行う営業社員でもあるので、数字に対する意識が高いです。現在、個別の評価制度は導入していませんが、切磋琢磨しながら投稿数を増やしたり、内容を工夫したりしてくれています。


■コンプライアンス徹底

 ─投稿を促進する際に課題となった点はありますか。

(続きは、「日本流通産業新聞」3月16日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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