【グラント・イーワンズ 稲井田章治社長】 「質の向上」に投資する1年にしたい(2023年3月9日号)

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 体型補正下着をメイン商材にネットワークビジネス(NB)を展開するグラント・イーワンズ(本社福井県、稲井田章治社長)は、「会員の人材育成の仕組みの再構築」や「コンプライアンス対応の充実」「商品の質の向上」など、内部体制の強化に取り組んでいる。30~40歳代の会員が増加するなど、着実に成果が上がっているという。「踊り場のときこそ、内部体制を強化すべき」と話す稲井田社長に話を聞いた。

 ─22年9月期は減収になったということだったが。
 稲井田 22年9月期は下代換算の売上高が、前期比16.4%減の122億円になった。
 減収の要因は主に、コロナ禍の急拡大の反動だ。21年9月期の売上高が、前期比69.7%増の146億円となっていた。内訳としては、新たに扱い始めた電解水素水整水器が1万台売れたり、幹細胞化粧品が60億円の売り上げを上げたりしたことがあった。21年9月期中は、「コロナ禍で下着の試着がしてもらいにくい」という危機感から、会員が整水器や化粧品の販売に集中的に注力した。22年9月期は、こうした商材による売り上げの上乗せが減少したこともあり、全体的にも減収となった。
 ─コンプライアンスの強化が減収につながった側面もあるか。
 稲井田 それはない。その逆で、「踊り場」のときこそ、内部体制を強化しようという考えで、コンプライアンス強化に取り組んだ側面はある。コンプライアンス強化に当たっては、会員からコンプライアンス担当のリーダーを4人抜擢し、コンプライアンスチームを作った。そのリーダーが、特定商取引法や会員規約について、毎月Zoomで発信する取り組みを行っている。(一社)全国直販流通協会のコンプライアンスセミナーでしっかりと勉強をしたリーダーが説明を行う。説明の時間も、トータル約40分と短くすることで、参加しやすくしている。自分と同じ会員からの発信ということで、自分のこととして受け入れやすい側面もあるようだ。特に義務付けたりはせず、自主的に参加してもらっているが、1回当たり、1000人程度が受講することもある。
 ─コンプライアンス以外の体制強化にも取り組んでいるか。
 稲井田 会員の人材育成の仕組みの見直しにも取り組んでいる。そうした取り組みの結果、30~40代の会員が増加している。当社の創業時の会員には60代の人も少なくない。そんな中、累計約26万人の会員の年齢別の内訳は、20代1万6000人、30代5万人、40代7万人、50代6万8000人、60代4万6000人、70代以上3万7000人となっており、40代がボリュームゾーンとなっている。
 ─どのような取り組みを行っているのか。
 稲井田 40代以下の会員しか参加できない研修「次世代GSS(グラント・ステージアップ・セミナー)」を行っている。北海道、関東、関西、九州の4カ所で3カ月に1回のペースで開催している。
 ─23年9月期の売り上げ見通しは。
 稲井田 前期同様の120億円前後での着地を見込んでいる。今年は、資材価格の値上がりなどさまざまなことがあるが、ジタバタせず流れを見る1年にしようと考えている。製品の小売価格も上げないつもりだ。
 いたずらに売り上げの拡大を追求するのではなく、「質の向上」に投資する1年にしたいと考えている。「商品の質」の向上という意味では、商品の改良にも取り組んでいきたい。商品数を増やすのではなく、一つ一つの商品の機能性を向上させていきたい。「会員の質」の向上につながる取り組みの検討も行っていきたいと考えている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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