〈4月から通販事業をスタート〉ラウディ 山崎和彦社長/「無酸化」をコンセプトに展開

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 長瀬産業と化粧品通販を手掛けるシュープリーム(本社東京都、氏家優社長)が今年1月15日に合弁で設立したラウディ(本社東京都、山崎和彦社長)が、4月から通販事業をスタートした。30代半ばから40代の働く女性をメーンターゲットに、化粧品や健康食品の自社製品を販売する。合弁会社設立の経緯や今後の事業展開について、山崎社長に聞いた。

空白地帯を埋める

 ─長瀬産業とシュープリームが合弁会社を設立し、通販に参入した狙いは。
 「化粧品市場は頭打ちの状態になっているが、その一因としては市場のニーズに対し、供給するシーズ側が追い付いていないと感じている。お客さまのニーズに対応する商品を提供できればいいが、それに対してメーカーサイドが手薄になっているのではないか。つまり戦う土壌としては空白地帯がいくつかできているので、その空白をきちんと埋めていけば、化粧品市場の中でもシェアは取っていけるとみている。長瀬産業は商社なのでBtoBが主力だ。しかし、さまざまな業界において、ウェブの活用あるいはエンドユーザーと直接的に結び付くことによってビジネスの幅は広がっている。長瀬産業においても、ダイレクトにお客さまとの関係性を作れる部分を築き上げたいという思いがあった。シュープリームとしても自社ブランドを立ち上げるだけでなく、通販代行や通販そのものを活性化させる仕組みに取り組みたいという思いがあり、長瀬産業とシュープリームの方向性が一致した」
 ─競争が激しい化粧品市場においてラウディの存在感を高めるには、どのようなことに取り組んでいくのか。
 「ラウディは『無酸化』というコンセプトを作った。酸化が原因で肌が老化するため、その原因を作らないことが大切だと考えている。しかし、初期老化に対してエビデンスを持って対応していることを、コンセプトとして掲げている会社はなかなか存在しない。仮に酸化を抑制するために抗酸化物質を使うと、抗酸化物質自体が酸化して肌に残ってしまうリスクがある。単に抗酸化を掲げるのは無責任であり、肌の老化の抑制は、女性にとっても永遠のテーマ。だから、肌を酸化させない発想として『無酸化』を出したいという思いがあった。そのコンセプトを商品ラインアップや広告に反映して訴求していきたい」
 ─第1弾として玄米ミルクスムージーを商品化したが、化粧品を持ってこなかった理由は。
 「『無酸化』の発想を表すにはイメージしやすいという判断があったからだ。通販事業を展開するにあたり、ラウディは差別化した美容と健康をベースにした会社だと位置付けている。商品としては健康食品から展開して、併せて美容の部分を体現化させていく意味で、化粧品と健康食品で新商品を出していく計画だ」
 ─立ち上がりの反響は。
 「4月16日から雑誌に『玄米ミルクスムージー』の広告を出稿して、同20日から商品を出荷している。販売開始から2カ月を経たが立ち上がりの受注状況は順調で、予想を超える忙しさとなっている」


ウェブ展開に注力

 ─顧客ターゲットとして30代半ばから40代を狙った理由は。
 「他の化粧品通販においては創業から数十年が経過しているので、既存顧客の平均年齢が上がってきている。お客さまの成長とともに、商品として追い付けないケースも出てくる。そうなると通販化粧品の主戦場は50~60代の女性とならざるを得ない。通販にとって本来、マッチングする率が高い幼稚園ママや働く女性に対し、きちんとした商品やコンセプトを提供している会社が少ない30~40代をメーンターゲットとして狙っている」
 ─新規顧客の獲得方法は。
 「雑誌も出稿しているが、今後ウェブに注力したい。ターゲットとなる女性に合うウェブ展開は、まだまだ開拓できると確信している。また、新規顧客獲得の基本はメディアとチャネルの掛け合わせで、さらにクリエーティブによる表現力が求められる。しっかりと戦略を作れば、ウェブで獲得してもLTVは高いし、紙媒体についても、かなり効率的に新規を獲得できる手立てはある」
 ─ラウディにおける数値目標は。
 「公表していない。ただ、新商品は9月にメイク、10月にはスキンケアを予定しており、今年度(16年3月期)にあと数商品を予定している。さまざまなラインを増やしていき、健康・美容通販として展開する計画だ」
 ─通販会社を経営する上での手応えはいかがか。
 「ラウディの通販事業で商品を出荷以降、お客さまからの返品状況はほとんどない。数値的に見れば市場の中で受け入れられていると捉えている。事前に行った商品に対するアンケートでも、約90%のモニターが『本当に使いたい』と回答した結果が出ている。メディアによる新規顧客の獲得効率も当初想定したより順調とみている。こうした結果を踏まえると、立ち上がりとしてはまずまずのスタートが切れたと感じている」
 ─社長としての抱負をうかがいたい。
 「通販事業についてはこれまでも経験してきたが、今はチャレンジする立場なので、チャレンジ精神を持ち続けていく。最近の傾向としてASPなどパッケージ化された通販が多いだけに、お客さまの顔が見えにくくなっているのではないか。当社としてはそのような状況をチャンスにしていきたい。新しい手法も含めて通販は変わっていくと捉えており、ウェブがキュレーション化されていくのと同時に、通販もキュレーション化していくことが求められているのではないかと感じている。そういった通販の新しい形にチャンレンジして、業容拡大を図っていきたい」

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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