【参議院議員 山田太郎氏】 〈インボイス制度の今後〉自民はインボイス再議論へ、制度変更に期待(2022年11月24日号)

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 自由民主党は11月18日、インボイス制度について再検討する方針を明らかにした。政府・与党の税制方針を決める与党税制大綱に、インボイス制度の延期を含めた方針転換が盛り込まれる可能性がある。すでに法制化され導入を待つばかりとなっていたインボイス制度について、急転再検討が始まった内幕と、今後の見通しについて、自民党の山田太郎参議院議員に話を聞いた。

■宮沢税制会長が再検討を明言

 ─インボイス制度について、自民党内ではどのような議論が進んでいるのか。
 今後、自民党の税制調査会において、延期や制度変更を含めた議論が行われる方向だ。年末に取りまとめられる与党税制大綱で、インボイス制度について、何らかの方針転換が示されることを期待している。
 自民党の中小企業・小規模事業者政策調査会のインボイス対策小委員会では、11月17日の時点で、インボイス制度について、「このままでは進められない」という声と、「このまま進めるべき」という声が上がり、意見が分かれていた。
 現在、さまざまな業界団体から、「とてもではないが今の状況ではインボイス制度について対応できない」という声が寄せられている。11月11日のインボイス小委では、そういった意見を踏まえて提言をまとめようとしていた。
 しかし、11月17日のインボイス小委では、制度に賛成する意見も多数寄せられ、小委として提言をまとめることは見送られた。党の税制方針を決める税制調査会での議論に委ねられることになった。
 11月18日に開催された税制調査会では、「すでに決まったインボイス制度を議論すべきではない」という声も上がった。ただ、宮沢洋一会長が、再度議論することを約束してくれた。


■2年延期の可能性も残る

 ─今後、どのような形で議論が進むと考えられるか。
 実際のところ、インボイス制度の延期は難しいだろう。自民党の幹部の中にも、「今のタイミングで延期すると、逆に混乱が生じてしまう」と強く主張する人もいる
 インボイス制度で負担が増える免税事業者にとって、デメリットが少ない形に制度が変更されるのが、現実的な着地点ではないか。
 ただ、昨年、改正電子帳簿保存法について、施行まで1カ月を切った段階で、「2年延期」の変更が決定された例もある。インボイス制度が今後、急に延期になる可能性もゼロではない。 
 ─先日、一部メディアで、一定金額に満たない取引は制度の対象外とする案について報道されたが。
 具体的な案については全く決まっていない。自民党の会議でもすり合わせはされていない。具体案については今後、議論されていくのではないか。


■個人タクシーやシルバー人材にも波及

 ─山田議員は、インボイス制度についてどう考えるか。
 個人的には、現在のインボイス制度については問題があると思っている。

(続きは、「日本流通産業新聞」11月24日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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