〈吸収合併による相乗効果を〉銀座ステファニー化粧品 竹尾昌大副社長/新商品、店頭卸、観光客が成長の鍵

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 銀座ステファニー化粧品(本社東京都、チャ・ソギョン社長)は12年2月に韓国の生活用品・化粧品大手のLG生活健康社のグループ会社となり、14年2月に完全子会社となった。14年7月には健康食品通販のR&Yを吸収合併し、安藤恵子副社長と、R&Yの社長だった竹尾昌大氏の2人が銀座ステファニー化粧品の副社長として事業を統括している。銀座ステファニー化粧品、R&Y、LG生活健康の商品はブランドを変えずに販売している。竹尾副社長に吸収合併による相乗効果と今後の方針について聞いた。

3者の強みを生かす

 ─銀座ステファニー化粧品がR&Yを吸収合併したことによる相乗効果を聞きたい。
 「シンプルな相乗効果で言うと、R&Yの主力サプリメント『プラセンタ100』を銀座ステファニー化粧品の既存顧客に対してクロスセルできるようになったことだ。銀座ステファニー化粧品の既存顧客にはサプリメントを強く訴求したことがなかったが、『プラセンタ100』はテレビ広告も出稿して知名度が高いため、合わせて購入してもらえるようになった」
 ─旧銀座ステファニー化粧品と旧R&Yの顧客層はマッチしていますか。
 「顧客層は旧銀座ステファニー化粧品が50~70代で、旧R&Yは40~50代がメーン。10歳ほどR&Yの顧客の方が若いが、美容への関心はどちらも高く、順調にクロスセルができている。旧銀座ステファニー化粧品のブランドでは現在、50~70代女性と親和性の高いイベントやGMSの店内などリアルの場を使って獲得する手法をテスト的に始めている。旧銀座ステファニー化粧品ブランドの顧客数自体を増やそうと試みている」
 ─吸収合併によりR&YもLG生活健康の傘下に入った。今後の展望は。
 「現在はLG生活健康、旧銀座ステファニー化粧品、旧R&Yのそれぞれの強みを生かした事業を模索しているところだ。LG生活健康は数百人の博士を保有する研究機関を持っており、化粧品を中心に独自原料も含めた研究開発力と、本国では売上高が約6000億円に拡大している資本力が強みだ。旧R&Yは新規顧客獲得の広告施策、マーケティング手法、またインバウンドのコールセンター設計などを強みとしている。旧銀座ステファニー化粧品は顧客ごとに担当制を敷き、リレーションシップを強くしながらお客さまの求めている商品を販売するカウンセリング通販が強みとなっている。今年度末(12月)までに新しい化粧品を共同研究して、3社の強みを掛け算する形で商品を販売していく考えだ。ターゲットは既存顧客と同世代の40~60代。通販を主力に、新商品で新しい市場を創出したいと思っている」


戦略的な店頭卸を

 ─LG生活健康のグループであることのメリットは。
 「研究開発力と資本力の面ではメリットとなっている。しかし、日韓の政治問題で日本人の韓国旅行者が減少していることに象徴されるように、韓国の企業が親会社であることに反応する消費者もいる。LG生活健康の化粧品ブランド『スム』も、百貨店内の店舗を一時期7店舗まで拡大したが、今は縮小傾向にある。韓流ブームだった数年前より、韓国ブランドは厳しい状況にあるように思う」
 ─吸収合併後、商品の店頭卸にも力を入れているようだが。
 「ドラッグストア、ショッピングモール、免税店などに、化粧品とサプリメントを顧客層に合わせて卸先を決めている。卸先は拡大したいが、シャンプーのように全員が使用するとは限らない美容サプリメントは特に店頭販売が難しい。外国人が多く来店する店舗や、美容に関心の高い人が多く立ち寄る店舗は好調な売れ行きで、中国語のポップを付けるとより手に取られやすくなる。単に店舗数を拡大するのではなく、伸ばす店舗と売らない店舗を戦略的に切り分けていく必要がある」


インバウンド需要取り込む

 ─現在の化粧品通販市場をどのように捉えているか。
 「昔のような伸長を遂げることは難しいと思っている。過去に景気が悪くなったとき、大手メーカーが広告出稿を控えて媒体費用が安くなり、リピート性が高く単価のいい通販商材が軌道に乗ったことがあった。その時代背景とともに通販市場は拡大したが、現在は人口が減少する一方でドラッグストアなど化粧品が買える場所も競合も増加しているレッドオーシャン状態だ。その中で伸びるためには、誰もいない市場に1社だけで参入するか、伸びている市場に入るしかない」
 ─貴社が伸びるために取る手法は。
 「訪日外国人のインバウンド需要を狙いたい。今年の訪日外国人の数は過去最高の2000万人になるという予想もある。また、『爆買い』という言葉もあるように、外国人観光客は化粧品に限らず日本の商品に想像を超える金額を投じている。インバウンド需要を取り込めば、伸びる会社になると考えている」
 ─訪日外国人にはどのように訴求するのか。
 「銀座の旗艦店は外国人観光客に商品を免税販売しており、誘致できる環境は整っている。今期中にも店舗への呼び込みと店舗運営の手法を確立させたい。外国人観光客は来日する前に買う物を決めているもの。このため、中国など現地で広告展開していく。銀座ステファニー化粧品が日本で人気の化粧品である様子をアピールする必要がある。また、観光ルートの中にいかに店舗への誘導を組み込むかも考える必要ある。新商品、店頭卸、インバウンド需要の取り込みが今期以降の鍵となってくる」

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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