【KTCファシリティーズ 一級建築士 統括責任者 古川紀明氏】 〈「機能訓練指導員が伺う住宅改修」事業が好評〉社会課題解決できる企業を目指す

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 一級建築士事務所のKTCファシリティーズ(本社愛知県、小谷謙二社長)では、建築士と理学療法士が担う住宅リフォーム「機能訓練指導員が伺う住宅改修」事業が好評だ。事業開始から約1年で、問い合わせ件数が右肩上がりで増えているという。一級建築士の資格を持ち、事業の統括責任者を務める古川紀明氏に話を聞いた。

 ─企業概要を伺いたい。
 当社は、2011年に外壁リフォームを専門とする住居時間(スマイルタイム、本社愛知県)の工事部門としてスタートし、19年に独立した。
 企業の理念として「PSS(パブリック・ソリューション・サポート)」を掲げており、事業を通じて社会課題を解決するという考えのもと展開している。具体的には「職人不足」「空き家問題」「断熱などの住宅性能値の問題」などに向き合っている。
 当社は品質重視の方針を掲げている。一部の訪問販売企業は「販売したら終わり」という企業も見受けられる。当社は、グループ企業が獲得した契約について、品質が担保された商材を提供しつつ、アフターサービスを担うことで、お客さまときちんとつながっていくことを目指している。
 ─具体的にはどのような業務を担っているのか。
 設計から工事、現場管理、建築資材の仕入れ、太陽光関連商材の卸売りを行っている。また、「工事部」では、独自の「職格制度(徒弟制度)」を採用し、自社職人の育成をしている。育成後、協力職人として独立や起業をバックアップする制度も整えている。
 当社の特徴でもあるが、職人の9割が営業を担当したことのある社員だ。マナーやあいさつといった基本的な接客スキルを身に付けているため、お客さまからの評価は高い。
このコロナ禍においても成長を遂げており、22年4月期の売上高は前期比20%増の108億円を見込んでいる。
 ─訪問販売の強みとは。
 私は「訪問販売」は需要を創出する仕事だと考えている。お客さまは当社から話を聞くまでは必要性に気付いていない。当社は、お客さまとのコミュニケーションを通じてさらに需要を「拾得」することも必要だと考えている。住宅リフォームの場合は、お客さまが「やらなければならない」と気付いている場合が多い。トイレやキッチン、浴室などの機能性が担保されなくなれば修繕の必要性に気付く。
 これまでは、最初のお客さまと関係を築いてもその後は継続したお付き合いをしてこなかった。そのため、住宅で起こりうるその後の課題を解決できない状態だった。しかし、この需要は10~15年スパンでどんなお客さまも出てくる課題だ。こうした需要を拾っていく役割もある。

(続きは、「日本流通産業新聞」4月21日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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