【ジャパネットホールディングス 高田旭人社長兼CEO】伝える力、BSで生かす

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 ジャパネットホールディングス(本社長崎県、高田旭人社長兼CEO)は3月27日、グループ会社のジャパネットブロードキャスティングがBS局を開局した。新設した「BSJapanext(ビーエスジャパネクスト)」の運営や期待を高田社長に聞いた。

■CMが少なくても他局より成り立つ

 ─ジャパネットグループが、自分たちでBS局を持とうと思った狙いは。
 ジャパネットは通販事業もそうだが、いいものを見つけて、それを磨く、そして伝えるということを大事にしている。何事も人に伝えるときは中身が大事だと思っていて、社内でも社員研修に力を入れているが、それは知識とか情報を知ることで人生が変わることがたくさんあって、情報を知ることで社員が幸せになる姿を見ていると、これってテレビ局だったら世の中にいい考え方とか、いい情報とかをものじゃない形で伝えられるということを考えていた。そのときにBS局の枠の話があったので、ジャパネットはBS局に参入して、健康とか地域の情報を伝えたいと思ったのがきっかけだ。
 ─ジャパネットグループが持つアセットや特徴を、どのような形でBS局に生かしたいと考えているのか。
 われわれは通販の会社ということもあり比較的設備投資が少ない。テレビ局を作るときも、設備投資が多くてキャッシュがなかったら先行投資はできないが、比較的そこに余裕があったので、専用のビルを構えたり人材を採用することができている。あとは、商品選びとか、お客さまはどうやったら喜ばれるかということを考える社風があるので、そういう意味でもテレビ局を作る過程において、あらゆる社員がたくさん考えて取り組んでいる。テレビ局はCM収入がメインになると思うが、われわれは通販の会社なので全体の3割を占める通販番組の中での収益が想定より取れていくと、CM収入が他のテレビ局より少なくても成り立つと思っている。そうすることで結構フラットな、あまりスポンサーを考えすぎて番組が偏らないということも強みになると思っている。


■視聴習慣化が当面の課題に

 ─BS局としては後発になるが、他のBS局との違いや差別化のポイントは。
 開局してアプリを開発しているが、もともとジャパネットが使っていたアプリをアップロードする形でやっているので、すでに数十万人の方がアプリを使っているが、思いのほか、そこからのコメントや参加が多いと感じている。アプリにたくさんの情報の行き来ができるようになることで、オペレーションコストが下がると思うので、既存のテレビ局とは大きく異なるやり方になるかなと思っている。
 ─BS局を運営する上での課題は。
 やってみないと分からないが、BSの263チャンネルというのはチャンネルが深いので、ザッピングで刺さるところではない。面白い番組を作っていって視聴習慣に組み込んでもらわないと、なかなか視聴されるのは少なくなる可能性があると思う。そういう意味では番組の編成も習慣化してもらえることを考えながらやっているので、そこが課題というか、超えていかなければならない部分だ。
 ─BS局の開局に伴う収益への影響、例えば通販事業であれば枠が広がるわけだが、そのあたりはどのように捉えているのか。
 運営コストは分かっているので、BS局として年間どれぐらいの売り上げを上げないといけないかは認識している。他のBS局と比べて、売り上げは通販も含めて一定金額を超える目標は立てているが、それがどれぐらいの効果があるかはまだ分からない。
 ─BS局で流すショッピングの番組と、枠を購入して流している通販番組の使い分けは考えているのか。
 そこはまさに課題で、東京のBSチーム約70人と、長崎・佐世保には通販のチームが約100人いるので、その100人のチームの中に新しくBSのチャンネルの通販を作るチームを作った。そのメンバーは通常の通販のチームとどう変えていくかというアイデアを出している。例えば、アプリがあるのでアプリがあると、お客さまから声が入ってくる。通販で商品を紹介しているときに、もっと聞きたいことがあったらアプリで問い合わせをいただければ、そのアプリに寄せられた質問に通販番組の中で応えていくとか、前後の番組を意識した通販の番組が作れないかとか、すごく気温が暑いときにはエアコンの番組に切り替えてしまうとか、そういうアイデアを出していけるのではないかと考えている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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