【フューチャー 小柳みゆ社長】 〈中国越境ECへの進出を一貫支援〉【W11分析】 動画プラットフォームのさらなる成長を予測(2021年11月18日号)

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 フューチャー(本社東京都、小柳みゆ社長、(電)03―5809―9280)では、フューチャーグループで長年にわたって積み重ねてきた知見・ノウハウを生かし、日本企業の中国越境ECへの進出を一貫支援している。小柳社長自身はKOLとしても活動しており、現在の総計フォロワー数は約90万人。越境EC支援サービスを、グループ会社を有効活用しながら、外部の中間業者を挟まずに、極力「直接」提供できる点が強みだという。同社は、越境ECという分野において、プロモーション会社、メーカー、EC事業者、インフルエンサーという多様な側面を持つ。中国EC市場の大型商戦「W11」にも、さまざまな側面から取り組んだとしている。特に注力したのが、「動画」プラットフォームへの対応だという。同社の小柳みゆ社長に話を聞いた。

 ─今年のW11について感想を聞きたい。
 今回のW11では、中国大手ECプラットフォームを運営するアリババと京東(ジンドン)の2社の合計流通総額が15兆8000億円となったと聞いている。今年は、中国版TikTok(ティックトック)「抖音(ドウイン)」を筆頭に、動画プラットフォームの成長ぶりがすさまじかった。将来的には中国EC市場の勢力図を塗り替える可能性があると考えている。
 「抖音」では、単尺動画の投稿やライブ配信を行える。昨年からは、同プラットフォーム内で、ECの購入までをすべて完結できるようになった。
 当社では、都内と中国に撮影スタジオを持っており、ライブコマースなど、日本から中国に向けて、さまざまな発信を行うこともできる。最近では、「抖音」の配信専用のチームも中国現地で整えた。
 「抖音」だけでなく、香港市場上場企業の動画プラットフォーム「快手(クワイショウ)」などでの取り組みにも、以前から注力している。
 動画ライブ配信は、売り上げが上がりやすい。動画プラットフォームは今後もさらなる成長を予想できる。先行者利益を得るためには、今の段階から早期進出をしておくことが欠かせないだろう。
 ─中国ECで勝ち抜くにはどうすれば良いか。
 当社では、美容関連の商品が多い口コミプラットフォーム「RED(レッド)」の支援にも力を入れており、支援の依頼も多く寄せられている。REDの消費者は高い購買力を持つ。高価格帯の商品も比較的売れやすく、投資効果が高い傾向にある。
 中国越境ECモール「天猫国際(Tモールグローバル)」には、健康食品の自社店舗を出店している。当社の店舗を、クライアント企業のテストマーケティングに活用している。当社店舗も今回のW11に参戦したが、好調に成長している。
 商材や戦略に応じて、複数のチャネルを活用することが重要だ。
 今年のW11で新しく登場したのが「予約金」だ。中国EC市場は全体的に成長しているが、こうした中国の大手ECプラットフォームの仕組みは、年々複雑化していると感じる。こうした変化は、めまぐるしいスピードで起こっているため、中国事情に明るいパートナー企業との連携が欠かせないだろう。
 さらに、W11のような商戦に参加するには、商品の登録など、前々から準備を進める必要がある。中国EC商戦で勝つためには、長期的な視点が必要だ。販促やブランディングなど、日々の積み重ねが欠かせない。テストマーケティングからスタートするなど、今の時期から、来年のW11に向けて、準備を始めるたことを、当社では推奨している。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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