【ナック クリクラビジネスカンパニー カンパニー代表 小磯雄一郎取締役専務執行役員】 〈特許も取得した「ジアコ」〉コロナ禍で契約台数約2.5倍 (2021年11月4日号)

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 「クリクラ」ブランドで宅配水事業を行うナックが展開する、次亜塩素酸水溶液の空間除菌・消臭サービス「ZiACO(ジアコ)」のニーズが、コロナ禍において急増している。コロナ前の20年2月時点と比べ、21年9月時点の契約台数は約2.5倍となった。「ジアコ」については、横浜薬科大学総合健康メディカルセンターが、長期吸入試験や飲用試験の結果から安全性を確認し、利用を推奨しているという。21年3月には、「有効塩素濃度及びpHの安定性に優れた次亜塩素酸水溶液」として特許も取得した。「販売加盟店も順調に増加している」と話す、ナックの小磯雄一郎取締役に、「ジアコ」の販売の現状や、今後の戦略などについて聞いた。

■「ウイルス・菌」「臭い」に効果

 ─「ジアコ」の商品の概要について聞きたい。
 「ジアコ」は、次亜塩素酸水溶液専用の噴霧器(ミスト)のレンタルと、水溶液の定期配送をセットで行うサービスだ。次亜塩素酸水溶液を空気中に噴霧すると、ウイルスや菌の除去効果が期待できる。
 「ジアコ」には、高い消臭効果も確認されており、ペットを飼っているお客さまからも好評をいただいている。これからの乾燥が気になる季節では、空気中に浮遊しているウイルスや菌に、噴霧した次亜塩素酸水溶液を付着させて床に落し、さらにそのウイルスや菌も除去するという効果もある。
 次亜塩素酸水については20年5月、「有効性がない」などと、一部で報じられた。(独)製品評価技術基盤機構(NITE)の発表がきっかけだった。
 当社の製品は安全性・有効性の両面でエビデンスを有しているが、次亜塩素酸水溶液に対して不安を持たれるお客さまも少なくなかった。
 ただ、NITEの報道以降でも、「ジアコ」をコロナ以前から使用しているお客さまが解約するといったケースはほとんどなく、ユーザー数は増え続けている。
 さらに、21年10月には、行政からの連絡文に、「次亜塩素酸水の空間噴霧について適切に使用することを妨げるものではない」と明記された。
次亜塩素酸水溶液の噴霧については、ヒトを用いた臨床試験も実施され、安全性が確認されている。こうしたデータも参考にしつつ、改めて「ジアコ」の安全性が確かなものであることを伝えていく。


■コロナ禍でニーズ急増

 ─現在の「ジアコ」の販売状況は。
 18年10月に発売した「ジアコ」は、コロナの影響でニーズが急増し、一時は受注がコロナ前の5倍になる月もあった。今では落ち着いているが、安定的に受注台数が伸びている。
 20年9月には、車内や外出先でも携帯できるポータブル版の「ZiAmini(ジアミニ)」の提供も開始。「ジアコ」の利用シーンが増えた。


■製品としての特許

 ─「ジアコ」について、特許を取得したと聞いたが。
 当社では21年3月、有効塩素濃度及びpHの安定性に優れた次亜塩素酸水溶液として特許を取得した。「安定性に優れる次亜塩素酸水溶液を提供する」ということが実証された。
 一般的に次亜塩素酸水溶液は、光と熱に弱く、自然環境下で一定期間放置すると、通常の水に変化してしまう。「ジアコ」も同じだった。
 そこで、当社では、次亜塩素酸水溶液の有効塩素濃度とpHを安定させるpH調整剤として炭酸ガスを採用した。これが除菌効果と消臭効果を安定的に保てる独自の製法となっている。
 特許には、次亜塩素酸水溶液を保存する容器に、遮光性の高い特殊なアルミパウチを採用したことも含まれている。特殊なパウチによって、6カ月以上効果のある有効塩素濃度とpHが保てることが確認できた。また、有効塩素濃度とpHが、当社規格値を6カ月間下回らない状態での出荷体制も構築した。


■既存顧客のLTV向上に

 ─今後の「ジアコ」の普及の戦略は。
 現在、「クリクラ」の加盟店を中心に、約210社が「ジアコ」の販売加盟店となっている。販売加盟店は続々と増加している。
 「ジアコ」のサービスは、定期的に合計9リットルの中身(次亜塩素酸水溶液)を納品するストックビジネスだ。レンタル清掃業やプロパンガス業、乳販業や新聞配達業など、自社のお客さまを抱えていて、定期配送できる販売加盟店を募集している。加盟店は「ジアコ」の契約獲得に専念し、定期配送はクリクラチェーン全体で実施するといった方法も検討している。
 アフターコロナの時代にこれからのニューノーマルになる除菌・消臭という付加価値のある商材だ。自社のお客さまのLTV(ライフ・タイム・バリュー)の向上につながるだろう。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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