【食品宅配】【インタビュー】〈総菜販売のBtoE事業を展開〉おかん 沢木恵太社長/環境意識高まりの中 400社への導入目指す

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沢木恵太社長

沢木恵太社長

総菜販売の、おかん(本社東京都、沢木恵太社長)は事業開始から2年が経過し、導入企業は100社を超えた。14年3月からは、オフィスで働く従業員向けに総菜を販売するBtoE事業を開始。これに伴いメディアの注目が集まり、媒体露出が増えたことでサービスの認知度が向上している。沢木恵太社長に、BtoE市場と今後の事業計画について聞いた。

 ─BtoE事業「オフィスおかん」を開始して1年が経過した。創業当初から法人向けのビジネスは計画していたのか。
 BtoCで創業した際から構想はあった。法人向けに展開するためには、準備期間が必要だった。BtoCでも法人が購入するケースがあり、ニーズはあると把握していた。
 BtoEで事業を拡大するには、資金も人員も必要だった。始めるにあたって、水面下で資金調達の交渉を進めてきた。
 ─さまざまなメディアで取り上げられ、BtoEビジネスが注目されている。
 反響が高いということはそれだけ、社内における食事のニーズが高いということだ。BtoEのビジネスモデルとしても、継続率が高く、一定の売り上げが見込めるため、安定しやすい。手応えを感じている。
 ─新規顧客の開拓はどのように行っているのか。
 取り上げてもらったメディアを見て申し込むケースが多い。また、導入先の口コミもある。導入企業が、福利厚生のPRとして「おかん」を宣伝してくれることもある。 
 現在、導入先が100社を超えた。当初は配送エリアを渋谷から開始したこともあり、IT企業からのニーズを捉えた。人材獲得コストが高く、人材の流動が高い業種・業態からの引き合いが多い。働きやすさを改善して、離職率を抑えようという狙いがあるようだ。サイト上には、現場の社員が導入したいという声を受け付けるための署名ツール「導入おねだり」を採用している。同じオフィスで5人以上の署名が集まれば、当社から先方の総務担当者に積極的にアプローチする仕組みだ。 
 ─企業への配送方法はどのように行っているのか。
 開始当初は、スタッフが総菜を運んでいた。現在は、3社の配送業者に委託している。配送業者のすきまの時間を活用することで、コストを抑えることができた。BtoCと異なり、再配達の必要もなく、お互いにメリットがある。
 ─BtoEtoCへの展開について構想はあるか。
 現状でも企業での利用をきっかけに自宅でも利用したいというニーズはある。今後は、BtoEtoCへの積極的なマーケティングを行う。
 BtoCは、サービスを知ってもらえるかが重要となる。いかに食べたことがないものを定期販売で購入するのは不安だ。そのため、お試し購入という制度もあるが、会社で実際に食べている人を対象にしていくことで、利用までのハードルを低くすることが可能だ。
 ─導入企業先を「メディア」と位置付けている。この狙いは。
 BtoCを視野に入れれば、導入先を「メディア」として位置付けることができる。例えば、総菜を保管する冷蔵庫にデジタル・サイネージを取り入れて、PRに活用しようという計画もある。現在は、冷蔵庫の近くに貯金箱を置いてお金を入れる仕組みだが、これをアプリにして、決済機能をスマホに切り替えてほしいという声もある。法人向けの場合は、そこで働く人の声を直接聞くことはできない。アプリがあれば、利用者からの情報が得られ、BtoCへの送客も可能になると考えている。
 ─BtoE事業を地方都市に広げる考えは。
 今年は引き続き都内23区で展開するが、今後は関東でのサービス開始を検討していく。来年には、大阪や名古屋などの政令指定都市への展開を目指す。当社は、自社で物流を持っていないのが一つの強みで、物流パートナーがあれば、事業があらゆるところで展開できる。消費者向けと法人向けの相乗効果が期待できる。
 世間では働く環境の見直しに関心が高まっている。こうした状況を追い風に、今年中に現状の4倍にあたる400社への導入、売り上げは10倍を目指す。


〈プロフィール〉
 中央大学商学部卒業後、コンサルティング会社に入社。ネットベンチャー企業を経て、教育系ベンチャーにメンバーとして参画。その後、2012年12月に「CHISAN(現おかん)」を設立して独立。法人向けの社食サービス「オフィスおかん」と個人向け定期仕送りサービス「おかん」を運営。長野県出身、85年生まれ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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