化粧品OEMメーカーの国内トップ企業である日本コルマー(本社大阪府、神崎義英社長、(電)06―6227―5261)は4月13日、神奈川・横浜に新たな研究所を開設した。同社が関東に研究所を構えるのは初。横浜研究所では、大学機関との共同研究も行っていくという。研究所新設の狙いなどについて、執行役員で研究開発本部担当の田中克昌氏に話を聞いた。
─横浜に研究所を新設した狙いは。
田中 当社は本社を大阪に置いていることもあり、拠点が日本の西側に集中しがちだった。関東圏の拠点の拡充は、かねてからの課題だった。営業拠点としては以前から、東京に支店を構えていたが、生産・研究の拠点がなかった。昨年、静岡にようやく生産拠点を構えることができた。研究拠点についても、従来は大阪の柏原と八尾、島根の出雲の3拠点であったため、数年前から首都圏にも研究所を構えるべく検討・準備を進めてきた。
横浜研究所設置の構想は、去年の秋ごろから話が具体化。本格的な手続きを進めてきた。
─横浜研究所にはどのような機能を担わせるのか。
田中 横浜研究所では、従来の開発業務に加え革新的な処方開発、エビデンスに基づいた製品評価などを行っていく予定だ。今までは関東圏に研究所がなかったため、顧客に不便をかけていた面があったが、解消できると思う。
研究内容についての打ち合わせなどを含め、関東方面の顧客とのコミュニケーションがより密にとれるようになることは、大変大きなメリットだ。また、関東圏に研究所を置くことは、この地域の新規顧客開拓を活性化させるという意味でも役立つのではないかと期待している。
これまでは関東圏に研究所がなかったため、関西の研究所とやりとりをする必要があり、社内的にもロスが少なくなかった。横浜研究所の設置によって、当社全体としても、業務の合理化や迅速化が図れると期待している。
当社の経営方針である「ワンストップトータルサービス」を実現できる環境が、これまで以上に整ったとも感じている。
─関東圏の研究拠点を横浜に置いた理由は。
田中 交通アクセスが良い点と、入居の条件が良かった点を評価した。横浜研究所は、東京工業大学の敷地内に位置し、中小企業基盤整備機構の施設の一角にある。つまり、大学との共同研究がしやすい環境と言うことができる。実際に5月からは東京工業大学との共同研究を行う予定になっている。
大学機関との共同開発は、当社にとって新たなステージになると考えているが、3~5年をかけた長期的な計画となる。2020年には共同研究の結果を形にしたいと考えている。研究成果を基に特許を取得することも考えている。2020年に開催される世界的な化粧品のカンファレンス「IFSCC」の場で研究成果を発表したいと考えている。
─横浜研究所の研究体制について聞きたい。
田中 関東圏で化粧品開発経験者を採用し、計6人を配属した。他の研究所との業務連携が必要になるため、他の研究拠点に加え横浜研究所にも4月からテレビ会議システムを導入した。
横浜研究所開設を機に、社内外共に、さらに円滑なコミュニケーションを実現していきたい。
【美白・美肌化粧品特集 インタビュー】〈横浜研究所が稼働開始〉日本コルマー 田中克昌執行役員研究開発本部担当/東工大との共同研究で新ステージへ
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