【日本エコライフ 佐藤政彦社長】 〈”ゼロ円太陽光”を訴求〉自家消費を追い風に普及を目指す

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 太陽光発電・オール電化、蓄電池などを販売する日本エコライフ(本社宮城県、佐藤政彦社長)は、コロナ禍の営業活動自粛を経て、9月までに業績が前年並みに戻りつつある。地球温暖化防止を目的に、全世帯を対象に太陽光発電システムを設置するためのプロジェクト「ゼロ円太陽光」を訴求している。佐藤社長にコロナ禍における事業戦略について聞いた。

 ─今夏、6~9月にかけてサマーキャンペーンを実施した。
 世間がコロナ禍で元気がない中で「ハピネスサマーコンテスト」と銘打って実施した。当社の営業社員の訪問活動を通じて、少しでも笑顔を届けることができればと考えた。
 営業組織として契約件数だけを追い求めることが果たして会社の成長につながるのか考えた。社員が仕事を通じて人間的に成長することが重要だと考えている。この中でどれだけ優秀な人員を確保するのかも重要だ。
 営業部分では、「一対一で勝つ」という点を据えて各支店でロールプレーイングを強化した。競合他社も多くなる中で、他社よりも一時間でも多く営業活動をするよう伝えた。商品や工事に関する知識のレベルアップも図ってきた。
 ─「ゼロ円太陽光」の訴求も進めた。
 地球温暖化防止を目的に、全世帯を対象に太陽光発電システムを設置するためのプロジェクトだ。専門商社と提携したことで、設置からメンテナンスまでコスト負担なしで提供できる仕組みを構築している。
 今回のサマーキャンペーンでは、地域一番店になるために、ゼロ円太陽光の普及に力を注いだ。当社としては、最も利益が期待できる蓄電池とのセットで売れることが理想だ。ただ、お客さまに喜んでもらえるためにどのような商品、サービスが必要なのかを考えたときに、まずはゼロ円太陽光を訴求することが重要だと考えた。
 今回のサマーキャンペーンでは、こうした考えのもと、一見、経営的に”無駄”とみられる「ゼロ円太陽光」の提案も同時にしていくことを方針として掲げた。エリアを広げていくための種まきという位置付けだ。
 20年4―9月期(中間期)の売上高は前年同期比30%減で推移している。4~5月度の営業活動を一部自粛したことが響いた。前年の業績が良かったので、その反動もある。営業社員を交代で出勤させたり、テレアポも取りやめていた。6月は7割程度まで戻り、7月、8月は前年並み、9月度は今期で最も良かった。
 ─テレビやラジオCMからの反響も大きい。
 4月以降は、地元のテレビやラジオでCMを開始したほか、地元のプロスポーツチームへの支援を通じてブランディングに力を注いできた。コロナ禍でテレアポ営業を自粛しているときに、問い合わせが月に30~40件あった。営業は自粛していたが、問い合わせが来た分は対応してきた。コロナ禍前から計画をしていたことだが、ピンチをチャンスに変えることができた。
 ─アライアンス強化も視野に入れる。
 太陽光・オール電化や蓄電池メーカー、販売会社とネットワーク作りをしていく。今年6月に設立した「日本エコライフホールディングス(HD)」では、地元銀行の紹介により、顧客を持つ企業とのアライアンスも進めていく。提携先も「ゼロ円太陽光」が販売できるようなスキームも提供していく。HDは小さく生んで大きく育てたい。また、創業からの全てのお客さまのためという視点でどうお役に立てるのか、地道にこれまで重ねてきた。
 これからはより専門性を全社員で高めていく。現在入居する仙台の中心部の本社ビルもフロアを50%増床してワンフロアー(200坪)グループとして事業を広げる。
 太陽光・オール電化や蓄電池メーカー、販売会社とネットワークづくりも強化する。電気を自家消費する流れを追い風に、マンション用の蓄電池も投入したり、蓄電池のラインナップも顧客ニーズに応じた、購入しやすい低価格帯にも力を注いでいきたい。太陽光発電の値下げも具体的に動き出し、日本エコライフのおかげで太陽光発電システムが安くなったとシステム普及と発展に貢献できればと考えている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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