【食品宅配インタビュー】 SLCreations 佐藤健社長/販売員組織のオンライン改革に着手

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 冷凍食品を主力に食品宅配を手掛ける、SLCreations(エスエルクリエーションズ、本社東京都)は、新型コロナウイルスの影響を受け、販売員組織のオンライン改革に着手している。コロナ禍における食品宅配や通販は毎月、前年実績を上回るなど好調で、通期でも増収も狙う。今年で社長就任10年となった佐藤健社長に、事業戦略について聞いた。

 ─コロナ禍における業績の推移はどうか。
 他社と同様、受注は急激に伸び、自社通販に関しては月によっては前年同月比2倍増になった。
 食品宅配事業に関しては、販売員「シュガーレディ」の中には外出を控えているという人もいて、前年同時期と比べれば伸びているものの、通販と比較するとそれほど伸びは大きくはない。食品宅配の売り上げは3月度が横ばい、4月度が1.0%増、5月度が5.0%増、6月度が2.0%増で推移した。
 ─コロナをきっかけにオンライン化を推し進めた。
 これまで食品宅配では対面販売の重要性を販売員組織に説明してきたが、それができなくなった。この事態を逆手にとってオンライン改革に着手することにした。これまで手渡しだけで対応していた商品チラシに加え、オンラインチラシを作った。全てのお客さまに配布して欲しいと伝えてきたが、実際には販売員はその週に配達があった人にしか渡してくれないことも多い。
 オンラインチラシを作ることで、LINEでいろんな人に拡散できるようになったため、有力な販促ツールにつながった。注文が入れば、販売員は商品を届けに行くようになるのでモチベーションにもつながる。
 ─「無料試食会(シュガーパーティ)」も開けなかったのか。
 4月と5月は開催を一切中止した。一品クッキングについては、オンラインの形で開催し、同時に3人程度が参加した。年間契約商品の「SLミート」に関しては、40~50代の販売員が早々に目標に達するなど、手応えを感じた。
 冷凍食品については、前年同月に比べて毎月2桁増で推移している。一方で、化粧品と健康食品に関する商品は苦戦している。
 ─販売員のミーティングもオンライン参加を可能にした。
 マネジャーミーティング、チームミーティングもこれまでは対面での参加を原則としていたが、オンラインでの参加を認めるようにした。チームミーティングもさまざまな理由で参加できない販売員がいた。こういう人もオンラインを活用することで移動にかかる時間の制約がなくなり、参加率が向上した。
 4月と5月については販売員も外出を自粛する傾向にあり、配達を控えたいという人もいた。。こうした販売員に対して一時的な措置として、宅配便による配送を導入するなどの対応をすることで継続的な利用につなげた。
 ─休眠顧客への対応については。
 過去1年間以上、利用のないお客さまに対してダイレクトメール(DM)を送付した。一部の販売員からは反対の声もあったが、正しい食生活で健康を維持してほしいという思いもあり実施した。お客さまが販売員に連絡が取れない場合、特別措置として通販で商品を注文できるようにしたところ、実際に通販を利用して再開する人も多く、手応えを感じた。
 10月1日からは顧客に直接商品の提案を行い、受注もウェブサイトからできるようにする取り組みを始める。ただ、配送は販売員が担う。3~5万人のメルマガ会員に対してまず案内をする。
 ─「健康」に対する訴求に力を注いでいる。
 当社はこれまで、食生活を通じて「100歳まで元気プロジェクト」という企画を展開してきた。コロナ禍で病気にならない体づくりに関心が高まっていることを受けて、食生活で免疫力を高めるという考えのもと、月間カタログ「BIMIAN」で10月から著書『食べる投資』で知られる満尾クリニック院長の満尾正氏による連載を始める。月間カタログ「BIMIAN」だけではなく、ホームページ内でイラストと動画による配信も始める。
 ─今年で社長就任から10年を迎える。
 創業50周年と社長就任10年目という節目が重なった。この半年間はこれまで最もやりたかったことが実現できている。無料食事会の対面の強みとオンライン化を進めることで、消費者が選択できるようになればいい。今年が当社にとって大きく変革する年になりそうだ。


【企業データ】
 設立 1970年
 売上高 20年3月期は前期比2・8%減の149億2000万円
 取扱商品 無添加にこだわった冷凍食品、常温食品、化粧品、サプリメントなど

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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