【日天 高瀬和明代表取締役】 〈アフターコロナの組織作り〉技術力で営業獲得

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 太陽光発電や住宅リフォームの訪販、アライアンス事業を展開する日天(本社神奈川県、高瀬和明社長)の20年4―6月期(第1四半期)の売上高は前年同期と比べ減収になったが、利益は確保し黒字となった。コロナ禍で同社が取り組んだのは、アフターメンテナンスを軸とした屋根点検や修繕業務。高い技術力が契約につながり、数字にも反映させることができたという。同社は、コロナ禍で取り組んだ在宅勤務を今後も定着させていく構えで、テレワークを基本とした組織作りを行っていくという。高瀬社長に話を聞いた。

■経費は月400万に

 コロナ禍で、当社もテレワークを進めており、今後も在宅勤務を基本とする予定だ。各社員にパソコンを支給したり、移動に公共交通機関を使わせず車両を貸し出している。毎月のコストは400万円ほどだ。車を支給し、駐車場代を負担し、マスクなども渡している。感謝してくれている社員は多い。
 第1四半期は減収となったものの、4月と6月は黒字だったので、全体としては黒字になった。コロナ禍でも働いてくれた社員には、コロナ支援金として5万円を支給した。正直、コロナの影響で受注は激減すると思っていた。だが、いざ営業活動してみると予想とは違った。コロナ禍でも納得できる技術には、お金を出す顧客が多かった。これは、当社がこれまで取り組んできた技術力を武器にする営業が実った結果だろう。感染対策として、営業時にはフェイスシールドを着けさせている。フェイスシールドは営業や現場社員含め全員に渡している。
 しかし、7月は長雨の影響で全くダメな状況だ。コロナよりも、悪天候が敵となった。それでもアライアンスを強化したことが花開いており、悪天候で工事が延期になった受注残が多くあり、8月と9月は忙しくなるので、第2四半期の業績は回復するとみている。


■働き方改革も意識

 こうした情勢でも、無駄な残業はせずに定時で仕事を終わらせるよう社員に働きかけている。18時には仕事を終わらせ、規定通りに休みも取らせている。しかし、こうした改革は利益あってこそできることだ。この基盤を作るためにもアライアンスをさらに進めて、常に顧客がいる環境を作る必要がある。そのためにも、限られた時間の中で、営業や施工ができる人材を育成しつつ、技術力を磨く必要がある。当社の場合は、アライアンス先の顧客に営業しながら、営業力を磨いてもらっている。営業力がない人は、量をこなすしかない。そこも、OJTを通して日々教えている。既存顧客への営業なので、本当に何もできないという社員以外は、利益を出せるようになれる。
 業務は、屋根や外壁の点検に特化させている。屋根や外壁だけだと人材の成長が早い。経年劣化などを確認すれば顧客と話せるからだ。しかし、屋根以外の水回りや蓄電池などになると単価も高額になるため、ある程度の営業力が必要になる。営業や技術が二極化してしまっているのが当社の課題だが、これは日頃の積み上げで契約が取れるようになるため、結果的に量をこなしていく必要がある。


■組織が育つ

 当社の組織図としては、部長、次長、課長、係長、主任、リーダーという役職になっており、評価制度も等級ごとにしている。役職が上がれば、給料も上がるということだ。4年前から管理職の育成を行っており、OJTをしながら次長や課長が少しずつ育ってきている。これまでに教えられてきたことは、係長や主任にもそのまま伝わる。営業トークに始まり、住宅点検の仕方やクロージング、そして工事管理なども全て指導している。さらには、営業同行した際は食事も極力一緒にして、多い時では、週に3回以上、一緒に食事をする社員もいるくらいだ。そのくらい、徹底して寄り添って人材を育成している。
 アライアンス先の開拓も積極的に行っており、中小のビルダーや工務店を中心に開拓するよう営業には指示している。今後も愚直に業務に取り組み、人的投資だけでなく、テレワーク型の新しいシステム投資も積極的に行い、時代に合わせた組織作りを行っていく。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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