【YKC・システムコンサルティング 藤野正樹社長】 〈今年7月で創業25周年〉NB成長のキーワードは「海外」と「デジタル化」

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

 ネットワークビジネス(NB)企業の総合コンサルティングを行うYKC・システムコンサルティング(本社東京都、藤野正樹社長)は、これからの時代に不可欠なビジネスとしてNBを提案している。藤野社長は、「超高齢社会」を迎えている日本のNB企業には、「海外への展開」と「デジタルとアナログとの融合」が求められていると説く。今年7月に迎える創業25周年に向けて、「NB企業の支援をさらに加速させる」という藤野社長に、NB業界の現状と今後について聞いた。

 ─19年は、NB業界にとってどんな年だったと考えるか。
 19年のNB業界を象徴するキーワードは「幹細胞化粧品」と「働き方改革」だった。商材的には、「幹細胞化粧品」が多くのNB企業に採用され、各社の成長の原動力となった。一方で、「働き方改革」が日本中で進められた1年だった。働き方改革の進展は、一人一人の働く人の余暇が増え、収入が減ることを意味する。そんな中、閣僚からは「老後に2000万円不足する」との発言も飛び出し、矛盾が浮き彫りになった。矛盾を解消する処方箋として、「好きな時間に、好きな場所で、好きなだけできる」NBに注目が集まった。NBは副業としても最適だ。定年もない。「NBに初めて参加する人」の数は確実に増えている。19年は、NB業界が成長のきっかけをつかんだ1年だった。20年は、さらにNBが躍進する年になると考えている。


■課題は「教育」

 ─NB業界の課題は。
 課題の一つは「教育」だろう。会員教育において、地域間格差・グループ間格差が拡大している。そもそもNBの会員に求められる、目標設定・リストアップ・アポ取り・クロージング・アフターフォローといった能力は、一朝一夕には身につかない。会員教育が切実に求められている。一方で、主宰会社からの通達を傘下の会員に伝えず、独自のグループ運営をしてしまう、困ったリーダーもいると聞く。会員教育の不徹底は、コンプライアンス上の深刻な問題にも結びつく。会員教育を、広く、均等に、高いレベルで実施していくことが求められている。
 もう一つの課題は「人口減少」だ。昨年、成人した人の数は86万4000人で、ピーク時よりも50万人近く減少している。日本はすでに「超高齢社会」であって、今後の人口減少は止められない。NB企業が、国内だけを相手に展開し、大きな成長を遂げるのは、難しくなりつつある。
 ─そんな中、NB企業に求められることは。
 やはり、海外に目を向けることだろう。人口が増加し成長性が高いアジアマーケットを見据えてビジネス展開を行っていく必要がある。グローバル化は待ったなしだ。といって、日本国内での戦いを軽視すべきだと言っているわけではない。超高齢社会においても、健康・美容への需要は引き続き大きい。国内でしっかりとファンづくりを進めつつ、海外へのアプローチを拡大させていくべきだ。地球全体がマーケットだという感覚で、商品開発・価格設定・報酬プランづくり、ホームページ作成を行うべきだ。海外展開といってもはじめは並行輸入で構わない。現地の組織が広がってきた段階で、本格展開を始めれば問題ない。
 ─何からどう海外展開に取り組めばいいか分からないという企業もある。
 そうした企業には、まず「見る」ことをお勧めする。海外を自ら視察すれば、「日本の製品がどの程度、どのように受け入れられているのか」「NBはどのように受け止められているのか」「どう展開すればよいのか」といったことが肌感覚として分かってくる。今、海外展開に成功している国内NB企業はすべて、自分の目で現地を見て、多くのことを学んできた。その結果、現在があるのだ。当社で良ければ、現地のエスコートをさせていただく。NB企業の現地でのコンベンションなどにもご案内できる。
 ─他に、NB会社として取り組むべきことは。
 「デジタルとアナログの融合」だろう。日本人の一人当たりの生産性の低さは、欧米の人が驚くほどのレベルになっている。原因は簡単で、デジタル化の遅れだ。今後のNB企業の成長性を占う指標は、間違いなく「デジタルとアナログの融合」だろう。海外のNB企業では、デジタル化が、当たり前のこととして進んでいる。国内NB企業の中にもデジタル化に取り組む企業が現れ始めている。米国の大手NB企業では、車輪のついたスーツケースで重い資料を持ち歩く会員の姿を見かけなくなっている。商品・プラン・会社説明といった内容はすべてデジタル動画として配信されており、モバイル機器で閲覧すればよいからだ。
 デジタル化は教育の地域間格差・グループ間格差の解消にも役立つ。本社の社員が会員教育に頻繁にいけないような地方も含め、広く、均一に、高レベルの教育を提供できる。
 デジタルとアナログの融合は、会員のモチベーションの維持にも有効だ。NB企業によくあることとして、イベントのときにだけ盛り上がって、すぐに熱が冷めてしまうということがある。デジタルでは、ハグも握手も食事会もできないため、NBにアナログの要素は不可欠だ。ただ、アナログの部分にだけ依存すると、「会っている時間」よりもはるかに多く存在する「会っていない時間」にモチベーションを維持することが困難だ。そこを埋める存在としてデジタルが機能する。デジタルのコンテンツは、いつでも、どこでも、何度でも閲覧可能だ。さらに今年からは、高速・多数接続の5G化が進み、デジタル上での双方向のコミュニケーションがさらに容易になる。気になることはSNS上で簡単に質問できる。デジタルの良さとアナログの良さをバランスよく取り入れたNB企業が成功を収めるといえるだろう。
 ─日本国内では法律の壁もあるのでは。
 確かに、デジタルを勧誘のツールとして使うのは難しい側面もある。ただ、登録後の会員の教育やコミュニケーション、情報提供、モチベーション維持などのツールとして使う分には非常に有効だ。一人一人の会員にとって、情報の格差が収入の格差につながる側面がある。どこにいても情報を均等に迅速に入手できるデジタルは、会員にとって心強い存在になる。
 ─高齢の会員の中には、デジタル化になじめない人が出てくるのでは。
 グループ内に、30~40人に1人、デジタルが分かる人がいれば、それで大丈夫だ。私が知っている、80歳近い女性ディストリビューターは、セミナーのようすなどを収めた画像を、ご自身でネットに毎日上げておられる。孫にやり方を教えてもらったということだった。年齢はあまり関係ない。


■支援さらに加速

 ─最後に、今年の抱負を聞きたい。
 当社はお客さま企業を、成長のパートナーとしてサポートし続けてきたが、今年の7月3日で創業25周年を迎える。節目の年を迎え、より成長する姿を見せられるよう、社員一丸となって頑張っていく。先を読むのが難しい時代だが、その中で客観的な情報を収集し、提供し続ける。ネットワークビジネス企業の支援をさらに加速させていく。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ