【健康食品訪販企業トップインタビュー】日本シャクリー 堂山昌司社長/ECなど新規チャネルは中止、原点回帰へ

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堂山昌司社長

堂山昌司社長

日本シャクリー(本社東京都)の代表執行役社長に、ニュースキンジャパンのバイスプレジデントを務めた堂山昌司氏が1月6日付で就任した。堂山新社長は、外資系通販化粧品の社長として会社を急成長させた実績も持つ。ここ1年で新たに導入したeコマースなどの新チャネルにどのように対応していくのか。堂山新社長に今後の戦略について聞いた。

 ─堂山社長は外資系企業を中心に重要なポジションを歴任してきた。
 最も長く勤務したのは新卒で就職したソニーで、約15年勤めた。最初に配属されたのはセールス&マーケティング本部のビデオ事業部での国内営業だった。その後大学院へ留学したが、90年ごろソニーが米国のコロンビア映画、CBSレコードを買収したこともあり、ソニーのニューヨーク支社に戻って約8年、エンターテインメントの事業を推進してきた。
 ソニーを退社して97年にドイツ系のレコード会社BMGに転職し、日本に戻った。その後は東芝EMIの社長、マイクロソフトの副社長、通販化粧品のガシー・レンカー・ジャパンで代表を務めた後に、ニュースキンジャパンに誘われて入社した。ニュースキンではマーケティングの責任者として、ネットワークビジネスのプロモーション、製品企画、顧客ロイヤルティ戦略を中心に強化した。
 ─ネットワークビジネス(NB)に戸惑うこともあったのでは?
 前職で半年くらいは違和感があった。なぜこんなに世間から嫌われているのかわからなかった。新領域に取り組むために他社とのコラボレーションを打診しても断られてしまう。「なぜ?」という思いはあった。
 ─NBが疎まれていることを十分感じたのに、なぜまたNBのシャクリーを選んだのか。
 前職でディストリビューターと接して、嫌な思いをしたことは一度もなかった。非常に好感の持てる人たちだ。シャクリーファミリーの皆さんも同様に情熱的で成長したいという思いの強い、楽しい人たち。一部企業による風評問題はあるが正しく経営すれば、自信をもって展開できるビジネスだと思う。
 ─社長に就任後は全国を回ったと聞く。
 就任してまずは、社内にいるよりファミリーと会う機会に時間を割いた。3月後半はスーパーバイザーと来年度に向け、さらに密度の濃い情報交換をした。会社がファミリーをどうサポートすべきかというのが非常に大事で、意見を吸い上げていきたいと考えている。
 ─フィールドから求められていることは何か。
 一番の要望は、「もっと会社との一体感がほしい」ということ。フィールドとの距離感というのは非常に難しいけれども、会社とフィールドが同じ方向を向いていることを共有できればいいのではないか。そういう意味でも、ファミリーとの交流は大事だと思う。
 ─昨年から新たな販売チャネルとして進めてきた、TVショッピングやeコマースの進捗状況と今後の方針について。
 全て中止する。資金を投じて1年近く取り組んできたが、結果は伴わなかった。eコマースも同じ。立ち上げるのは簡単だが、短期間での効率よい集客を考えるとどうしても資金力が必要になる。ネット広告もテレビと同じくらいの資金を投じなければビジネスとして成立しにくい時代になっている。
 TVショッピングやeコマースが当社の中核事業であるNBに融合できるものがあるのかと言えばそれもない。NBはクローズドだから良いのであって、オープンにすると複雑になる。総合的な観点から中止すべきだと判断した。
 ─eコマースで新規客を取り込む狙いがあったと思うが、どの程度の新規客が獲得できたのか。
 高い目標ではなかったものの、計画通りにはいかなかった。これはTVショッピングも同様だ。通販は片手間でできるビジネスではない。年間数十億円の広告出稿をして、黒字化するのに4~5年かかる。NBではここに資金を投じるわけにはいかない。
 当社はまだNBでやり切っていないことがある。30~40代という将来の会社の成長を担ってくれるシャクリーファミリーをいかに新規で広げていくのか。これも重要な課題だと考えている。

(続きは本紙3月26日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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