40~50代をメーンターゲットとしたアパレルブランド「ドゥクラッセ」と、軽度外反母趾用の靴のブランド「フィットフィット」を販売しているドゥクラッセ(本社東京都、林恵子社長)。創業時から手掛けているカタログ通販に加え、近年は店舗事業やEC事業も拡大している。マルチチャネルで展開する同社は今後どのようにECを展開していくのか。グループのネット通販事業を手掛けているWeb部の山北教仁部長に、EC事業の現状と今後の戦略を聞いた。
─07年の創業以来、急速に売り上げを拡大していると聞きました。前期のグループ売上高とチャネル別の内訳を教えてください。
「14年7月期のグループ売上高は約120億円でした。チャネル別の大まかな内訳は通販が約50%、店舗が約25%、ECが約25%です。近年はECの売り上げが伸びているほか直営店も増やしています。店舗数は1月末時点で『ドゥクラッセ』が16店舗、『フィットフィット』が27店舗です」
─ECの取扱商品とECサイトの概要は。
「ECの取扱商品は原則として店舗や通販と同じです。現在はモールには出店せず、自社サイトのみを運営しています。ECサイトの主な集客手段はウェブ広告と検索エンジンへの最適化。近年はスマホ経由の売り上げが伸びており、14年7月期はEC売上高の約20%を占めました。14年以降はスマホ経由の月商が前年同月比2倍以上のペースで推移しています」
─モールに出店しないのはなぜですか。
「ブランディング戦略上の判断です。『ドゥクラッセ』や『フィットフィット』の世界観をきちんと消費者に伝えるには自社サイトが最適だと判断しました。また、モールの利用者と当社の客層が必ずしもマッチしていないことも理由の一つです。『ドゥクラッセ』の客層は40~50代が中心ですが、例えば『ゾゾタウン』のボリュームゾーンは30代です。他のモールも年齢層や客単価などが当社のターゲットから外れています。ただ、今後市場環境が変わればモールへの出店も柔軟に検討します」
─グループ全体の販売戦略におけるEC事業の位置付けは。
「現在はEC単独で売り上げを伸ばしている段階です。EC事業で必要な施策を着実に実行し、事業拡大のための基盤を固めています。ただ将来、ECがグループのオムニチャネル戦略におけるハブ(中核)の役割を担うことになると思います。アパレル業界では店舗とECが連携して顧客を囲い込む動きが広がり始めました。当社も将来的にはオムニチャネルの方向に進んでいくと思います。当面はEC単独で売り上げを拡大していきますが、これからはグループのブランディングやマーケティング、顧客の利便性を高めるためのツールとしてECを活用していく視点が求められるでしょう」
(続きは本紙2月26日号で)
〈アパレル通販のEC戦略〉ドゥクラッセ Web部 山北教仁部長/将来はオムニチャネル戦略の中核に
記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。