【オルビス 代表取締役社長 小林琢磨 氏】新社長インタビュー/ブランドプレゼンスを高める

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 ポーラ・オルビスホールディングスグループのオルビス(本社東京都)は1月1日付で、代表権のある社長に小林琢磨取締役が昇格した。グループで敏感肌化粧品を取り扱うDECENCIA(ディセンシア)を急成長させた実績を持ち、オルビスの新ブランド戦略を担うことを期待されての起用となる。小林社長に、今後のオルビスの取り組みや代表としての抱負を聞いた。


■事業ドメインを通販と捉えない

 ーーーグループにおけるオルビスの役割は。

 基幹ブランドなので、グループの中心を担うブランドだ。ポーラ・オルビスグループは個性的なブランドの集合体だが、その中でオルビスは価格帯という意味でマスに強いところで存在感を発揮する役割を担っている。

 ーーーIRの関係上、17年12月期の業績に関するコメントは難しいと思いますが、オルビスの前期業績は比較的苦戦した印象です。要因は何でしょうか。

 業績としては前々期から苦戦していたが、一言でいうと市場におけるブランドのプレゼンスが弱っているということだ。

 ーーーオルビスブランドの存在感が弱くなった原因はどこにあると考えていますか。

 現象面でいえば、市場に対する広告の投下を年々絞っており、その結果、利益率は上がっているが、マーケットに対するブランドの打ち出し方は徐々に少なくなっている。さらに、安定したお客さまの基盤があるので、外部に広告を打つよりも既存のお客さまに、いかにサービスを提供するかという投資に振っていることが影響している。では一方で広告費をかけたら苦戦しなかったのかというと、そんなことはなくて、同じ広告を打っても新規のお客さまを獲得できる人数はどんどん減っており投資効果は悪化している。仮に新規顧客獲得の広告を打ったとしても、そのような厳しい状態が想定されるのは市場での魅力が下がっているということだ。

 ーーーオルビス以外の他社の業績を見ても、化粧品通販市場は成長力が厳しい印象があります。化粧品通販市場自体が厳しいとの認識はありますか。

 通販化粧品のセグメンテーションをどう考えるかだが、通販の化粧品市場自体は伸びている。それはプレーヤーが増えているからだ。通販で買う消費者も増えており、通販・EC市場の化粧品は伸びているが、以前から通販化粧品という位置付けでカテゴライズされているわれわれが苦戦している。

 ーーーなぜ、そのような状況になっているのでしょうか。

 会社の事業ドメインを通販だと捉えているからだ。エルメスのような高級ブランドまで通販で買える時代に、〝われわれは通販です〟という事業ドメインはナンセンスだ。消費者はイケてるブランドのいい商品を、通販という手段を使って購入している。それはメーカー通販であるオルビスの視点からすれば、そこの認識を間違えてはいけない。通販が事業ドメインであれば、通販で提供する価値が差別化ポイントにならなければならない。それはプラットフォームとかリテールの話であって、商品やブランドの話ではない。では通販で買いやすいとか、買ったものがすぐ届くという利便性やユーザビリティーの話になったとき、アマゾンと戦うのかという話になる。事業ドメインが通販ということは、アマゾンやスタートトゥデイと戦う部分が事業ドメインになるということを理解しないといけない。

(続きは、「日本流通産業新聞」1月25日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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