【エイボン・プロダクツ 中陽次 社長】三越伊勢丹出身の新社長/訪問販売をなくしてはいけない

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中 陽次 社長

中 陽次 社長

 エイボン・プロダクツ(本社東京都)は9月1日、堤智章代表取締役社長が顧問になり、中陽次顧問が代表取締役社長に就任する人事を行った。中新社長は三越伊勢丹の出身。エイボン・プロダクツの親会社である投資ファンド出身の前社長から、百貨店出身の新社長に、エイボン再建のバトンが託された。「訪販という売り方には他に代えがたいものがある」と話す中社長に、訪販事業の成長戦略を聞いた。


 ーーー「訪問販売」への期待感を教えてほしい。

 訪問販売のマーケットがこれから急拡大することはありえない。消費者にとっては、商品を買える方法が他にもあり、訪問販売に頼る必要がないという人が増えてきているのだろう。ただ、訪問販売という売り方には、他に代えがたいものがある。
 「なぜ訪問販売を続けるのか」と問われれば、それは「ニーズがあるからだ」と答える。私の母親も、訪問販売のセールスの人に生活を支えてもらっている。「この業態をなくしちゃいけない」という気持ちが私には一番強い。
 前職の百貨店でも、ここのところお客さんが店頭に来てくれないため、「出かけていこうよ」という話になっていた。外商のマンツーマンのビジネスは今後むしろ、いろいろな分野で増えていくだろう。
 ーーー訪販事業の戦略は。

 当社の売り上げ約100億円のうち、純粋に訪販といえるのは3割にすぎない。残りの7割は「自分で買って、その後人に売らない」という自家需要が占めており、今後も自家需要が増えていくと見ている。当社はそれぞれ「訪販」「通販」と呼んでいるが、二つのチャネルの合計を大きくしていこうと思っている。
 訪販については、当社の創業時の売り方でもあり、大事にしていきたいと思っている。このルートがなくなると路頭に迷うお客さんがいらっしゃる。エイボンは今後も訪販を維持していく。

 ーーー通販から訪販への送客は行うのか。

 商品の愛用者の中で「自分でも売ってみたい」という方がいれば、すぐエイボンメンバーとして活躍していただけるような制度は用意していきたいと思っている。制度の内容は研究中だ。
 「メンバーになって当社から直接購入する」と「メンバーから購入する」の、どちらかを選んでいただく、現在の購入方法は変えない。多段階の仕組みにしてマルチレイヤーでビジネスをすると価格にマージンが載ってしまうからだ。当社にとって、「良品廉価である」ということが商売の大鉄則だ。

 ーーー新規獲得の方法は。


(続きは、「日本流通産業新聞」9月28日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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