【科学ジャーナリスト 植田武智氏】「新制度はトクホより厳しくあるべき」

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植田武智氏

企業の責任で食品の機能性を表示することができる「機能性表示食品制度」がスタートして半年超が経過した。機能性表示食品の販売が好調に推移する企業がある一方で、消費者団体からは厳しい声も寄せられている。消費者団体サイドから見た「機能性表示食品制度」の現状について科学ジャーナリストで、食の安全監視市民委員会の委員でもある植田武智氏に話を聞いた。

問題は「届け出制」

 ─機能性表示を緩和する前にクリアーにするべき課題があったとお考えのようですが。

 植田 まず、機能性表示食品制度が届け出制だということが問題だと思います。特定保健用食品(トクホ)の場合は、エビデンスや臨床試験の書類などの審査をパスして初めて、トクホとして機能を表示して販売することの許可を得られます。ですから、エビデンス等に不備があれば、表示が許可されることはありません。しかし、機能性表示食品制度の場合は、提出された書類の体裁がとりあえず整っていれば、受理されてしまいます。つまり、「受理されたこと」で「内容の信ぴょう性」まで担保しているとはいえないのです。また、機能性表示食品制度は、企業側の責任で機能を表示する制度であり、消費者庁がお墨付きを出したわけでないということでもあります。そのため、機能性表示食品として受理された食品にもかかわらず、表示している科学的根拠が十分ではないという情報があれば、それは当然、取り締まる対象にならなくてはなりません。そういった取り締まりを今後行っていくのかどうか。この点も注目したいポイントです。

 ─安全性の問題についてはいかがですか。短い日数での販売実績を根拠として「安全性がある」とうたう商品もあり、批判的な声もあるようですが。

 植田 危険かどうかは別にしても、「健康食品として何年も販売しているけれど、消費者からクレームがないから安全だ」とするのでは、やはり説得力には欠け、非常に問題があると考えています。きちんとした論理展開は当然必要です。

 ─研究レビュー(システマティック・レビュー)のあり方についてはどうお考えですか。

 植田 現在は、1報しか残らない状態でも届け出が受理されてしまいます。たった1件の臨床試験で効果を認めてしまうと、その後、新しい検証をされなくなる可能性があります。そのデータを使えば商品は売れるわけですから。すると、商品数は増えるけれど、検証数はいっこうに増えなくなる。しかも、臨床試験か研究レビューのどちらかだけでも受理されます。たとえば、質の悪い臨床試験を行っていたり、研究結果が少なかったりするうえに、検証し直される機会もないとなれば、質の悪い機能性表示食品が増えることになってしまいます。

 ─研究レビューの検証については、消費者庁も準備を進めているようですが。

 植田 それについては私も関心を持っています。しかし、企業の自己責任で機能性表示ができるとされている現状では、すべての表示の信ぴょう性を国が調べて評価するということにはならないでしょう。仮に、そのようなことになれば「トクホと変わらないじゃないか」と批判が出ることになってしまいます。だからこそ、信ぴょう性が低い商品が出てきたときにどのように処理をしていくのかは気になるところです。さらに、疑義情報を提出しても、販売を開始しなければ調査義務が発生しないというのも問題の一つでしょう。

続きは「日本流通産業新聞」12月3日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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