日本生活協同組合連合会(本部東京都)は、宅配事業における、配送をはじめとした業務の生産性向上に取り組んでいる。各生協の成功事例を共有してノウハウを学べる機会を増やしたり、AIを活用した配送コースの最適化に成果を上げつつある。若年層との接点獲得を目的に、生協宅配のお試しサイト「TRY CO・OP(トライコープ)」も推し進めて、新規組合員の確保に努めている。二村睦子専務理事に聞いた。
─新規組合員獲得の状況について聞きたい。
25年4―6月期(第1四半期)の店舗と宅配の新規組合員獲得は0・2ポイント前年同期を超えたものの、計画は下回った。
生協連で「仲間づくり」と呼んでいる新規組合員獲得については、従来型のドアツードアの勧誘比率が下がり、イベントなどによる接点づくりにチャレンジする生協も増えている。
加入率がそれほど高くないときはドアツードアによるアプローチは成果が見込めるが、加入率が上がっていく中で、関心のある人にどれだけアプローチできるかという点で変化している。人手不足という課題もあり人海戦術で獲得する方法は難しくなっている。
パルシステム生活協同組合連合会では、事務所内で事業数値を見える化(共有)する取り組みを行うことで意識を高めている。コープデリ生活協同組合連合会では、新規組合員の獲得は各センターの業務だったが、営業部門を作ることで役割を明確に分けた例も出てきている。コープさっぽろでは営業専任部隊を構築して、成果を生んだこともあり他の生協にも広がっている。
─継続利用にも重きを置いている。
新規加入しても無理な声かけだと継続せずに途中でやめてしまうケースは少なくない。イベントなどで生協の取り組みに関心を寄せてくれた消費者への戦略的な訪問営業と加入後の定着のための取り組みに力を注いでいる。
加入から8週間以内に辞めてしまう組合員について各生協は危惧をしており、定着に向けた取り組みに力を入れている。具体的には、LINEなどのチャットコミュニケーションを活用したり、マーケティングオートメーション(MA)ツールを使って、プッシュ通知を配信したり、配送担当者が8週間の間にシナリオに沿って声がけする生協が増えている。
─生協間における交流会も実施している。
全国の成功事例を集めてノウハウを共有するため各生協の営業担当の管理職を対象にした交流会を春と秋に開催している。コロナ禍前はリアルで開催したが、現在はオンラインで開催することができるため多くの人が参加できるようになった。
─若年層の開拓を目指すお試し宅配も実施している。
(続きは、「日本流通産業新聞 9月11日号で)
【日本生活協同組合連合会 二村睦子専務理事】デジタルツールで組合員とのコミュニケーションを強化(2025年9月11日号)
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