【適正・補正下着の20年成長戦略】 〈メーカー各社〉リアル通じてCS向上/顧客目線のフォロー重視

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

 適正・補正下着メーカー各社は、20年の成長戦略として、顧客に寄り添ったアフターサービスや、サロンや実店舗などリアルでの接点拡充による顧客満足(CS)の向上を挙げている。サニーライフジャパンの20年3月期における補正下着の売上高は、前期比で2倍近くになる見込み。サイズの調整や補修など、消費者目線のアフターサービスを充実して、受注拡大につなげた。適正・補正下着を扱う事業者は、リアルの接点やSNSを通じて顧客とのコミュニケーションを増やし、CS向上につなげたい考えだ。

 サニーライフジャパンの補正下着「エレモア」では、他のメーカーでは請け負っていないような細やかなサービスに対応している。この強みを生かし、OEM(相手先ブランドによる生産)や卸売りの受注を拡大している。
 「適正な価格を心掛けているが、補正下着は性質上、通常の下着よりも高価格になりやすい。生地が傷んでいないものは修理に対応し、商品を選んでくれた顧客に良心的なサービスを提供している」(目々澤峻社長)と話す。
 ECで骨盤ガードルなどを扱うユーアイビィは今年4月、「プレミアムガードル」を発売する。通販売り上げの主軸商品に育成する計画だ。
 新商品は著名な女性タレントと共同で開発したガードル型の骨盤サポーター。モニター100人に既存のガードルを試着してもらい、完成に向けてブラッシュアップした。将来的にはシリーズ化し、インナーなどのラインアップを拡充する方針だ。
 新商品の発売を機に、インスタグラムなどのSNSやウェブ広告による認知拡大に力を入れる。「商品の出来上がりは2月の予定。完成次第、ウェブマーケティングを本格化する。初動が肝心だと考えている」(基利枝子社長)と意気込む。通販の売上高は、発売予定の4月からは月に1000万円以上を視野に入れている。
 ユーアイビィは来春、東京・銀座に店舗とサロンをそれぞれオープンする。来店客にはLINEの友だち登録を促し、ECへの送客を図る。リアルとECの両輪で売り上げ拡大を狙っていく。
 ECとサロンで下着の販売を手掛けるHEAVENJapan(ヘブンジャパン)は19年秋から、無料の試着会「出張フィッティング」を行っている。試着は予約制で、募集開始から2時間で予約がいっぱいになることもあるという。サロンは東京と大阪の2拠点で展開している。
 松田崇社長はいずれも、顧客に寄り添う姿勢を社員に徹底している。「技術的なものよりも、お客さまに対する思いが口コミなどの反響につながると考えている」(松田社長)と話す。
 「試着したらボディラインがきれいになった」という感動から、「良かったからつい、SNSで発信した」「ネット上やリアルで口コミを拡散した」という動きにつながるプロモーションモデルを重要視している。
 試着会ではその場で購入を希望する顧客がほとんどで、CSの手応えを感じているという。
 アパレルのフラッシュセールサイトを運営しているla belle vie(ラベルヴィー)は、「下着は安定した市場なので、まだまだシェアを伸ばしていける」(バイイング&マーチャンダイジング部ウィメンズ デザイナーチーム・児島 千尋マーチャンダイザー)と考えている。将来的には顧客ごとの買い替え需要を分析し、レコメンドしたマーケティングも視野に入れている。
 今後は商品ページにおける見やすさの追求や、活用しきれていないSNSアカウントの運用や動画配信に力を入れていく方針だ。

■掲載記事
・〈インタビュー〉サニーライフジャパン 目々澤峻社長/30年以上愛され続ける「消費者目線」
・ユーアイビィ/主力の新ガードル発売迫る/来春は実店舗・サロン開店も
・ヘブンジャパン/今期売上11億見込む/リアル接点増加でCS向上
・ラベルヴィー/「安定市場」でシェア拡大/買い替えニーズなど捉える

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ