【腕時計通販市場】 価格帯で明暗分かれる/中価格帯は”戦国時代”(2021年11月4日号)

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ロレックスは年々価値が高まっている

ロレックスは年々価値が高まっている

 腕時計の通販市場は近年、商品の価格帯によって業績の明暗が大きく分かれているようだ。好調なのは、ロレックスなど、高級腕時計を販売する通販企業だ。売り上げの6割をロレックスが占めるという高級時計EC会社の羅針は、21年3―8月期(中間期)の通販売上高が、前年同期比で約25%の増収となった。21年9月度の通販売上高は、単月で過去最高を記録したという。ネクストトゥエンティワンが運営する、メンズブランド腕時計のECサイト「ジャックロード」も、高価格帯の商品の売れ行きが好調のようだ。コロナ禍の外出自粛で増えた貯蓄を、資産価値もある高級時計に変える顧客が多いようだ。一方、5万~30万円といった中価格帯の腕時計通販は、厳しい状況下にある。中価格帯の腕時計は、スマートウォッチの台頭により、売れ行きが大きく変化しているという。新規参入企業も多く、従来型の腕時計通販企業は苦戦を強いられているようだ。

■コロナ禍で増えた投機買い

 高価格帯の腕時計通販の好調の背景には、投機目的の購入が増えていることがある。ロレックスやパテックフィリップといった人気ブランドの腕時計は、売却時に購入時の価格を上回ることも珍しくないという。羅針(本社東京都)の田中拓郎シニアマネジャーは、「特にロレックスは、年々価値が上がっている。人気が出たモデルだと、100万円で買った時計が200万円で売れることもある」と話す。
 同社のECサイトにおける客単価は100万円を超えるという。21年3―8月期(中間期)の通販売上高は、前年同期比約25%の増収となった。同じペースで業績拡大が続けば、22年3月期の通期の通販売上高は50億円を超える見通しだという。高単価商材をメインとした商品展開が奏功しているようだ。
 ネクストトゥエンティワン(本社東京都)でも似た傾向があるという。同社の21年4―9月期(中間期)の売上高は未集計ながら、前年同期比微増での着地となりそうだ。単価の高い商品が多い自社ECサイトは、増収だった。一方、単価の低い商品を多く扱う、楽天やヤフーなどのモール店は減収傾向にあったという。同社のECにおける平均客単価は約50万円だとしている。
 一般的に腕時計は、ブランドバッグや宝石と比べ、利益率が低い。そのため、資産価値が高くなる傾向があるという。そうした背景から、投機目的の購入は年々増加傾向にあるようだ。また、コロナ禍での外出自粛が続いたことにより、「21年は消費の傾向が時計や車に向かっている」(羅針 田中シニアマネジャー)とみる事業者も見られた。”ぜいたく”の矛先として、投機的価値も見込める高級腕時計の需要拡大はまだまだ続きそうだ。

(続きは、「日本流通産業新聞」11月4日号で)

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