ワタミ 21年3月期/宅食事業、増収増益決算に/販売員が8000人台に回復(2021年5月20日号)

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渡邉美樹会長兼グループCEO

渡邉美樹会長兼グループCEO

 ワタミの「宅食事業」における21年3月期業績は、コロナ禍を受けて、高齢者だけでなく、ファミリー層の開拓が進んだため、売上高が前期比6.4%増の366億5000万円、営業利益は同35.2%増の30億2000万円と増収増益だった。
 外出自粛による宅配需要と健康意識の高まりに対応することで食数が増加し、1日あたりの調理済み食数が前期比1万4000食増の26万3000食に増えた。期末の拠点数は13店舗増の527店舗だった。
 販売員「まごころスタッフ」が増加。主婦の空いた時間でできる点や収入の少ない数カ月間は、一定の収入を保証する制度を導入したことが奏功し、前期比318人増加した。
 コロナ禍で、休校となった子どもを持つ世帯を対象にした、総菜セットの割引販売が好調に推移した。5月には、1食390円で冷凍総菜を販売する新サービス「ちゃんと家(いえ)ごはん」、10月には「サラダを食べる健康習慣」と「フルーツを食べる健康習慣」を投入したことで、子育て層から高齢者までの全世代を販売対象にすることで受注を増やした。今年1月には、国産野菜にこだわった野菜を詰め込んだ「旬の野菜BOX」の販売を始めるなど販売商材を広げた。
 20年7月から、埼玉県内で4年ぶりに販売を再開した「ミールキット」の販売対象地域を10月に関東甲信越に拡大。自社製造ではなく、OEM供給で食数の増加に対応した。販売員「まごころスタッフ」が配送を担うことで、歩合給の上乗せにつなげた。
 法人営業として、2月から明治が展開する乳製品の宅配サービス「明治の宅配」と組み、双方の販売チャネルを活用した食生活のサポート事業を開始。ワタミは、明治が販売する乳製品を届け、明治は一部の特約店でワタミが販売する弁当や総菜を届けている。
 22年3月期の事業計画として、2日・3日など曜日を選べるコースを増やすほか、冷凍商品の通販事業を強化することで、自社配送エリア外に訴求する。
 5月14日の決算説明会で渡邉美樹会長兼グループCEOは「ミールキットは前期から再開しているため戦略を練り直している段階だ。株主総会までに新しい戦略を打ち出していきたい」と話した。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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