〈生鮮品宅配・通販〉 コロナ2年目、生鮮宅配が浸透/体制強化から新規獲得にシフト

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

 新型コロナウイルスの影響による、消費者の外出自粛や新しい生活スタイルの浸透は、生鮮品など日用品を取り扱う食品宅配や通販・EC・ネットスーパーにとって追い風になっている。コロナ禍直後の20年3~6月は、例年実施している新規顧客開拓のプロモーションを停止し、急増する新規顧客への対応や受注対応に追われた。コロナ禍2年目となる21年度は、4月以降に新規プロモーションを積極化したり、物流などインフラ整備を優先する企業も出ており、対応が分かれている。生産者から農産品を消費者が直接購入するCtoCプラットフォームも台頭。消費者の購買動向が多様化している。生鮮品各社の対応を探った。

 20年は生鮮品を取り扱う食品宅配や通販・EC企業には大きな追い風となった。積極的にコストをかけて新規会員獲得のプロモーションを実施しなくても、出荷キャパシティーを超えるほどの受注が殺到。20年4―6月期は、新規会員登録ができない状態が続いた。
 各社はこうした反省を踏まえ、受注増加に対応できる仕組みを整備したり、継続的な利用を促すようなサービス向上など、さまざまな対策に取り組んできた。今年は昨年のような”特需”が期待できる環境ではなく、例年通りのプロモーションを実施する方針だ。
 オイシックス・ラ・大地は、グループの三つのブランドがともに、新規会員獲得のプロモーションを例年通り実施する。
 方向性として▽オリジナリティ(サービス・商品)の強化▽日配品の強化─を挙げる。特に、今年2月に子会社化した水産品卸のセブンワーク(本社東京都)のノウハウを生かし、鮮魚のラインアップを強化する考えだ。
 食品EC「Oisix」では20年3月末に物流のキャパシティーの課題もあり、新規会員登録を一時停止した。これにより約1万人の登録の機会を逸したという。そのタイミングでは、プロモーションを実施していなかったこともあり、21年3月度にはテレビCMなどマス向けの露出を強化する。期末のタイミングでプロモーションを仕掛けたことで、期初の4月に向け、新規会員を順調に確保しているという。
 「らでぃっしゅぼーや」は、22年3月期に事業の再拡大に舵を切る。21年3月期までは、事業モデルの再構築を含めた取り組みを実施。コロナ禍で新規会員が増加したことに加え、会員の購入単価も上昇基調にあることから、新規会員獲得を本格化させる。
 一方で、対面営業を担う「エリアプロモーションスタッフ」の活動再開は未定だ。「電話での契約活動中心に切り替えウェブ完結型に成果が出ている」(IR)とし、再開はコロナ禍の状況を見極める。今年4月からはこだわりの野菜、出荷規格に満たない野菜、水産品や畜産品などのフードロス食材を販売する「ふぞろいRadish」を開始。まずは40アイテムを揃え、22年末には年間で100アイテムに広げる計画だ。「料理教室を運営する方などを経由した紹介にも引き続き、力を注ぐ」(IR)とする。
 「大地を守る会」では、コロナ禍を機に発酵食品に対するニーズが会員の間で高まっているとみて発酵食品の販売強化を続ける。健康志向の高い顧客層との接点を広げる。
 ネットスーパーを展開するライフコーポレーションは、

(続きは、「日本流通産業新聞」4月15日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ