林兼産業〈「アスコフィランHS」〉/抗肺炎効果が論文掲載

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 食品の製造販売を行う林兼産業(本社山口県、中部哲二社長、(電)083―266―0210)はこのほど、褐藻類由来の独自素材「アスコフィランHS」の抗肺炎作用に関する論文が査読付きの海外の学術誌に掲載されたと発表した。


■肺炎による死亡の顕著な抑制を確認

 「肺炎球菌感染マウスに対するアスコフィランHSの経口投与での治療効果」と題する論文が、オランダの生化学の学術誌「インターナショナル ジャーナル オブ バイオロジカル マクロモレキュールズ」に掲載された。同論文によると、アスコフィランHSの肺炎に対する効果を、重症化モデルの肺炎球菌感染マウス30匹を用いて評価した。その結果、アスコフィランHSを投与しないコントロール群では感染後14日目までに80%が死亡したが、感染前後にアスコフィランHSを継続的に経口投与したマウスでは、生存率が著しく改善した。感染後14日目の生存率は、アスコフィランHS低用量投与群でも90%、高用量投与群では100%だった。
 肺の組織病理学的観察では、通常の感染マウスにおいて、炎症細胞の広範囲な浸潤や浮腫、フィブリン沈着といった、典型的な肺炎症状がみられた。これに対してアスコフィランHS投与群では、1匹のマウスで軽度の病変が観察されただけで、顕著な肺損傷などは観察されなかった。
 アスコフィランHS投与マウスでは、肺内の細菌数が、感染4日目ではコントロールのマウスに比べて大幅に減少することも確認されたという。感染14日目において、アスコフィランHS投与のマウスの血清からは、免疫活性を示す指標物質「IL―12」が、コントロール群に比べて有意に高いレベルで検出された。
 これらの実験結果を基に同研究では「アスコフィランHSの経口投与は、宿主の免疫システムを活性化することを介して、肺炎球菌感染に対して治療効果を発揮することが示唆される」と結論付けている。この研究が「肺炎球菌感染に対する海藻多糖類製剤の有効性を示した最初の報告」であることも指摘。「アスコフィランHSについて栄養補助食品および医薬品としての開発が進む可能性を示唆する」研究成果であるともしている。


■中計では機能性素材事業の拡大方針示す

 なお、同社では、5月19日発表の2カ年の新中期経営計画において、「機能性素材の拡大」に取り組むことを掲げており、「アスコフィラン」については、「免疫力強化作用を訴求し拡販を図る」方針を示していた。4月1日付けで、水産食品事業部を水産・機能食品事業部に改称するなど、機能性素材事業に注力する方向で組織変更も行っていた。
 今回の研究成果により、同素材の販売と、機能性素材事業の展開に、さらに拍車がかかりそうだ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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