食文化/給食の生産者を救う/6万人以上が商品購入

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 カニやフルーツなどの高級食品のECを運営する食文化(本社東京都、萩原章史社長)は3月16日、学校給食の生産者を支援する取り組みとして、給食に使う予定だった食材を買い取り、ECで販売する事業を開始した。4月1日時点で、6万3000人以上の顧客が、同社のECサイトで給食の食材を購入したという。
 食文化は、運営するECサイト「うまいもんドットコム」内に、「食べて応援!学校給食キャンペーン」という特設ページを設置している。
 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、全国の公立の小中学校が3月初旬から休校となったため、学校給食として提供されるはずだった食材が行き場を失った。食文化では、農林水産省から依頼を受けて、3月16日から同事業を開始することにしたという。
 全国の45事業者から、給食の食材300品目以上を買い取り、ECで販売している。「加熱用カット貝柱 10kg 3万5640円」や「さつま揚げ 125枚 8100円」など、約320品目をラインアップしている。
 民放テレビ局が3月下旬に同社の取り組みを多数報じたことから、注文が殺到した。購入した主婦層が、SNSで情報発信を行ったこともあり、口コミでも広がっているようだ。給食用食材を購入した6万3000人の顧客のうち約5万人が、これまで同社のECサイトを利用したことがなかった新規顧客だったという。「当社は東京近郊に食品専門のECの物流拠点を持っており、受注・仕分け・発送のノウハウも持っている。農水省が当社に事業を依頼したのはそうした背景があるからだ。社会貢献度の高い事業であることから、当社の従業員も喜んで仕事をしている」(萩原社長)と話す。
 食文化は給食の食材の販売では、利益をほとんど得ていないという。メーカーから食文化の倉庫への物流コストは、国の補助金で補填(ほてん)しているとしている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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