新日本製薬/東証マザーズに上場/「企業の信用・信頼を高める」

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報道陣との会見に応じる新日本製薬の後藤孝洋社長(東京・中央区の東京証券取引所で)

報道陣との会見に応じる新日本製薬の後藤孝洋社長(東京・中央区の東京証券取引所で)

 化粧品や健康食品の通販事業を手掛ける新日本製薬は6月27日、東証マザーズ市場に新規上場した。上場理由について後藤孝洋社長は「企業としての信用・信頼を高めるのが目的」と語り、人材採用や新規パートナーの開拓につなげていきたい意向を示した。初値は1664円で、公開価格の1470円を上回った。初値が公開価格を上回ったことについて「多くの株主の皆さまに期待されていることをあらためて痛感している。今後も期待にそえるように、社業の発展に専念していきたい」(後藤社長)と語った。

 上場後、報道陣との会見に応じた後藤社長は会社概要を説明した。1992年の設立後、94年に健康食品の通販を開始。00年には基礎化粧品の通販を始め、01年のテレビ通販開始が大きな転機になったと述べた。
 テレビへの広告は「当時、なかなか出稿するのが難しかった。現在は地上波が約130局あるが、全局の口座を持ち当社の主力チャネルとして展開している」と説明した。
 06年には後の主力商品となる「ラフィネパーフェクトワン」を販売。14年にはブランド名を「パーフェクトワン」にリブランディングを行っている。「このとき、広告投資を集中した。その結果、投資効率が向上して加速度的な成長を実現し、現在がある」(同)語った。
 「パーフェクトワン」はオールインワンスキンケア市場において、国内ナンバーワンの売り上げを3年連続で達成。国内シェアは23.7%を占めているという。累計販売個数は5000万個を超えた。
 今後の経営課題については、(1)「パーフェクトワン」ブランドのさらならスタンダード化(2)ヘルスケア領域の新たなスタンダード確立(3)EC/海外展開の加速─を挙げている。
 ヘルスケア領域の拡大については、現在は存在していないが「10年後にはあって当たり前と言われるアイテムを開発、展開していきたい」(同)と抱負を述べた。
 ECについては18年9月期、売上高の6.7%を占めている。今後は「Eコマースを利用するお客さま、いわゆるEコマースリテラシーがミドル世代以上にも高まっているので、利便性の向上も含めてECの割合を高めていこうと思っている」(同)と語った。

■〈後藤社長との一問一答〉/「健食、ECを拡大」

 新日本製薬の後藤孝洋社長は6月27日、東証マザーズ上場後、報道陣との会見に応じた。後藤社長と報道陣の質疑応答は次の通り。
     ◇

 ─ヘルスケア関連の売上高は全体の12.7%。将来的にはどのくらいまで高めていこうと考えているのか。
 「大体3割くらいまで引き上げたいと考えている。具体的な時期については言えないが、中長期的に3割くらいまで持っていきたい」

 ─ヘルスケアの割合を高めていくには、具体的にどんなことに取り組んでいくのか。
 「機能性表示食品が少しずつ広がっている。弊社でも『ロコアタックEX』という膝関節の痛みを和らげる製品があり、年間売り上げが10億円を超える製品として育ってきている。こういった機能性回りの製品を複数投入していく計画が一つ。それと現在化粧品をご利用いただいているお客さまに対して、アクティブシニアに貢献できるようなラインアップを拡充することで併売を促進する。ヘルスケア&ビューティーのトータルサポートを行うことによって、ヘルスケアの割合を高めていきたい」

 ─今期業績予想によると、売上高の伸びに対して当期純利益は慎重な見通しだ。この理由は。
 「上半期は順調に推移している。ただ現在は新規顧客の獲得を効率良く行いながら今後の成長につなげていく先行投資ということで、投資額が増えるためだ。今期は将来のための投資と位置付けている」

 ─ECの売上比率は前期、全体の6.7%だった。ECのウェートを高めていくには、どのようなことに取り組むか。
 「コールセンターをご利用いただいたお客さまの継続期間が長く、あえてEコマースの利用を推奨してこなかった背景がある。今後の利便性を考えるとEマースの利用意向が高いことは分かっている。ミドル世代以下の女性にマッチしたブランドや製品開発を積極的に行いながら、Eコマースの展開を進めていく。現在の主力メディアであるテレビや新聞とは違った、Eコマースに適したメディアを活用して新たな利用を広げていきたい」
 ─株主還元について教えてほしい。
 「配当性向に関してはこれまで20%ほど行ってきた。今後は30%も視野に考えていきたい。弊社の製品をご利用いただいているお客さまにもファン株主になってもらいたいので、株主優待についても今後、しっかり準備していきたい」
 ─400万人の顧客データベースを活用しているということだが、400万人は延べ人数か。
 「過去5年以内に一度でも弊社の製品をお買い上げいただいたお客さまの数だ。延べでいくと500万人強になる。1000円以下のサンプル利用のお客さまではなく、あくまで製品を購入されたお客さまだ」

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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