【インドの新興モールに聞く 〈タタ・インダストリー「タタ・クリック」〉】/倉庫持たないオムニ型モールで急成長

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タタ・インダストリーズのサウヴィック・バナジーCTO

タタ・インダストリーズのサウヴィック・バナジーCTO

 インドの財閥で120社以上のグループ企業を有するタタは14年、インドでECモール市場に参入した。タタ・インダストリーズが運営するオムニチャネル型のECモール「タタ・クリック」は15年から本格展開を開始し、延べ50億人の来訪者を集め、受注件数は300万件弱になるという。倉庫を持たず、リアル店舗との連携を重視したビジネスモデルで先行企業と差別化し、成長を続けている。
 タタは他社を追随する方法ではなく、インドで培った圧倒的な信頼性を武器に独自のECモールを構築することにした。顧客ターゲットを35〜60歳に据え、一流ブランドが何でもそろうECモールを目指し、「倉庫を持たない」モデルを採用した。
 「インドでECモールを展開するフリップカートやアマゾン、グローバルでいえばアリババ、JD.comなどは毎年、巨額な投資を行い、確保した在庫をディスカウントして販売している。ブランドは利益を吸い上げられている。『タタ・クリック』では、ブランドの実店舗をフルフィルメントストアとして活用している」(タタ・インダストリーズのサウヴィック・バナジーCTO)と説明する。

■実店舗への送客
 「タタ・クリック」の利用者は、購入した商品を実店舗に受け取りに行くか、実店舗から自宅やオフィスに配送してもらうことを選択できる。大半は宅配を選択するというが、店舗受け取りの利用者は増えている。
 「このモデルにより、実店舗の来店客数を阻害することはなく、購入者にとっては商品が実店舗から発送されるので模造品の心配もない」(同)と紹介する。
 自社倉庫で在庫を抱えるECモールの方が配送スピードにおける優位性はありそうだが、「インドは国土が広いため、近くの実店舗から配送した方が早いケースがある」(同)と言う。「タタ・クリック」にはこれまで、570都市から受注しているという。

■ブランドに魅力

(続きは、「日本流通産業新聞」9月27日号で)

ハイブランドが多数出店する「タタ・クリック」

ハイブランドが多数出店する「タタ・クリック」

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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