〈主要化粧品通販〉進化する店舗サービス/旗艦店は情報発信しやすい銀座に集中

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「ハーバー銀座館」の美容セミナー「肌の力応援塾」

「ハーバー銀座館」の美容セミナー「肌の力応援塾」

 化粧品通販会社が運営する店舗のサービスが進化している。旗艦店ではカウンセリングの機器や内容を充実化。建物の全フロアを使っている店では、フロアごとにテーマを持たせた展開が目立っている。セミナー専用スペース、独自の美容ドリンクを提供するくつろぎ空間、肌解析の専門機器を設置したカウンセリングルームなどを提供し、商品の販売だけにとどまらない顧客のファン化につなげている。各社とも店頭ならではのサービスで顧客接点を拡大し全体の成長を目指している。

免税店で外国人顧客も

 旗艦店は東京・銀座に開設しているケースが多い。ファンケルの「ファンケル銀座スクエア」、ハーバー研究所の「ハーバー銀座館」、富士フイルムの「ASTALIFT GINZA(アスタリフトギンザ)」などは、1棟のビルを全て使用してさまざまな機能を持たせている。
 銀座には、美容に関心の高い人が集まり、国内外への情報発信がしやすい特徴がある。外国人観光客の来店も狙えるため、旗艦店の立地場所として人気が高い。
 14年の訪日外国人観光客数は1300万人を超え、過去最高の数を記録した。その動きに合わせるように、「ファンケル銀座スクエア」と「ハーバー銀座館」は相次いで14年に免税フロアを開設した。
 「ファンケル銀座スクエア」では本体価格5001円以上を購入すると免税にしており、これが平均単価のアップにつながった。
 ハーバー研究所は地下のフロアを免税フロアにした。「メード・イン・ジャパン」「無添加主義」がブランド価値となり、外国人観光客を取り込んでいる。


テーマ別のフロア設置

 「ファンケル銀座スクエア」は03年に開設し、13年10月にリニューアルした。ファンケルは14年4月に持株会社制に移行し、化粧品と健康食品などをそれぞれ事業会社として独立させた。「ファンケル銀座スクエア」でも館内を「ビューティ」と「ヘルスケア」を明確に分けている。
 このほかにも独自の研究開発の情報発信とカウンセリングの提供を目的とした「肌未来研究室」というフロアを新設した。「旗艦店は商品やサービスだけでなく企業姿勢や研究開発も発信する場」(広報)と位置付けている。
 ハーバー研究所が14年8月に開設した「ハーバー銀座館」は、2階にグループ会社の商品も含めた健康食品や美容ドリンクなどを取り揃え、試飲・試食ができるようにしている。
 ドリンクカウンターと椅子を設置し、美容ドリンクをベリージュースなどで割って自分の好みに合わせた飲み方を提案している。「摂取することの楽しさを感じてもらいたい」(店舗販売部担当・藤井章夫取締役)とし、顧客と深い接点を持てる場を目指している。
 同じ2階では、同社のビューティプロデューサーである廣森知恵子氏によるラジオ番組「HABA NICE DAY」の収録も行っている。
 3階はセミナーやイベント専用フロアだ。週に数回のペースで少人数の予約制美容セミナー「肌のチカラ応援塾」を開催。講師との交流もファン作りの一環として重視している。
 開設から半年経った現在、新規顧客の来店増加を感じている。昨年はLINEの公式アカウントを取得したほか、年末にはテレビCMを積極的に放送した。それらを通して同社を知った新規顧客が来店しているという。
 富士フイルムは今年2月に「アスタリフトギンザ」をリニューアルした。これまでも銀座に店舗を開設していたが、建物内にテナント出店していた。1棟の建物を銀座店として新規オープンした。売り場面積は以前の2倍以上となる51平方メートルに拡大している。
 富士フイルムも、店舗には通販の既存顧客より新規顧客の流入が多いと感じている。
 リニューアルオープンに伴い、「3D肌画像解析システムによるカウンセリング」「タブレットによる肌・頭皮のチェックとカウンセリング」「フェイシャルトリートメント」「個人カルテの作成」を新たに開始した。
 3Dの画像解析を活用した診断は一人一人に時間を要するため、回転率が悪くなる。しかし「商品の良さを知ってから使用してもらうために、しっかり話す時間は必要」(コーポレートコミュニケーション部)と捉えている。

(続きは本紙2月12日号で)

「アスタリフトギンザ」のカウンセリングフロア

「アスタリフトギンザ」のカウンセリングフロア

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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