ヤマト運輸/3月にメール便廃止へ/通販各社は切り替え検討

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 ヤマト運輸は1月22日、メール便サービスを3月末で廃止すると発表した。4月からは、法人向けの新サービス「クロネコDM便」と、小さな荷物に対応した新サービスを開始する。メール便は97年にサービスを開始、13年度は20億8220万冊の取り扱い実績がある。
 新サービスの詳細は3月に発表する予定。「クロネコDM便」はカタログやパンフレット、小冊子など「信書」に当たらない書類の配達サービスで、法人向けに提供する。
 小さな荷物については専用小箱を利用する一般向け宅配サービスと、法人か競合サイト利用の一般人が利用できるポスト投函サービスの2種類を用意する(図表参照)。
 宅配サービスが400円台、投函サービスは宅配サービスよりも安価な料金形態となる。現行のメール便は82円から利用できるので、いずれも割高となる。
 ヤマト運輸は、サービス廃止の理由について、03年に総務省が公示した「信書に該当する文書に関する指針」にあると説明している。
 「信書」は履歴書や請求書など、個人の意思が示された文書が該当する。同じ文章でも個人が送付すると「信書」と認定され郵便法違反となるが、法人が送付しても「信書」と見なされないなど、定義が曖昧になっている。
 郵便法違反と認定されると利用者も罰せられることから、ヤマトは13年12月から「信書規制」の改革案を総務省に提出していた。しかし、要求が認められない現在の状況では「顧客が加害者になることを見逃せない」と判断し、廃止の決定に至ったと説明する。
 メール便を利用する通販事業者の反応はさまざまだ。
 家電通販会社は、「信書」問題についてヤマト運輸の言い分に理解を示す一方、「宅配便の他社の同調など、大きな影響が予想される」と話した。
 別の家電通販会社は「ヤマトグループ全体で値上げが続いている。以前から他社と契約も結んでいるので、切り替えも検討している」と話す。通販システムを提供する支援会社では、配送業務の導入状況について「物流費高騰の影響で、去年の夏頃からゆうパックの導入が伸びている。今回の廃止で、傾向が強まるのでは」と予測している。

(続きは本紙1月29日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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