東洋新薬/大麦若葉末で腸内細菌叢改善/東大との連携協定で初の研究成果

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 健康食品・化粧品の総合受託メーカーである東洋新薬(本社福岡県、本部佐賀県、服部利光社長、(電)0942—81—3555)はこのほど、東京大学分子細胞生物学研究所の白髭克彦教授との共同研究で、大麦若葉末の摂取が、腸内細菌叢の改善を促進することを確認した。研究成果は、3月15〜18日に、名城大学で開催された日本農芸化学会2018年大会で発表した。
 同研究は、16年10月に同社と東京大学との間で締結された連携協定に基づいて進められた。同連携協定には、「健康食品、化粧品等の新規素材開発及び製剤技術開発とその実用化に向けた共同研究の推進」が内容として盛り込まれていた。同社では、同大学の産学協創推進本部とともに研究テーマの探索から取り組んでおり、すでにいくつかの共同研究が進行している。今回発表されたのは、第1弾の研究成果ということになる。
 発表された研究成果は、大麦若葉末の摂取による、皮膚状態の改善作用と、腸内細菌叢の改善作用に関するもの。従来から、大麦若葉末の摂取によって、角層水分量の増加など、皮膚の状態が改善することが試験によって示されていたが、メカニズムが明らかになっていなかったという。今回の研究では、メカニズム解明のため、皮膚状態改善作用と腸内細菌叢改善作用についてヒト試験で検証した。
 健常成人女性28人を(1)大麦若葉末を含む食品を摂取させる群(大麦若葉末群)(2)含まない食品を摂取させる群(プラセボ群)─の2群に分け、8週間継続摂取させる二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験を実施した。
 その結果、大麦若葉末群では、摂取4週間後、8週間後の各時点で、頬の角層水分量の変化量においてプラセボ群比で有意な増加が認められることが分かった。摂取前後の腸内細菌叢の変動を調べると、大麦若葉末群には、プラセボ群比で(1)善玉菌とされる「ビフィドバクテリウム・ロンガム」の増加傾向(2)悪玉菌とされる「クロストリジウム科」と「エリシペロスリックス網」の有意な減少もしくは減少傾向─が認められた。
 これらの結果から、「大麦若葉末摂取により皮膚の状態が改善されることが示され、そのメカニズムが大麦若葉末摂取による腸内細菌叢の改善によるものであることが示唆された」と同研究では結論付けている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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