千趣会/業績回復へ正念場/通販事業の利益計上が鍵

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 17年12月期の連結業績で110億9000万円の当期損失を計上した千趣会。減損損失54億7300万円と、希望退職者の増加に伴う特別退職金などの事業構造改革費用19億200万円を特別損失に計上し、前期末で膿は出し切った。あとは本業のもうけを示す営業利益の黒字化が今期の課題となる。とりわけ連結売上高の80.3%を占める通販事業の営業黒字が業績回復の大きな鍵を握っている。

■原価率は56%強

 千趣会の17年12月期連結営業損失は42億8700万円だった。最も大きな要因は通販事業の販売不振と、それに伴う商品評価損などの計上だ。その影響で通販事業のセグメント別営業損失は57億700万円となっている。
 通販事業の売り上げ増加を狙い、製造小売り(SPA)型の商品開発にかじを切ったが、その結果余剰在庫が大量に発生。在庫処分としてセールの実施や評価損、償却を行ったことで売上原価が著しく悪化した。
 通常、通販事業の売上原価率は50%前後とされるが、千趣会の前期売上原価率は前期比4.7ポイント悪化の56.7%。千趣会の星野裕幸社長は新たな中期経営計画(中計)の説明会で、「ロット1型3000枚を製造しても、実際には500枚くらいしか売れなかった」と打ち明ける。
 通販事業以外のブライダル、法人、その他の各事業は営業黒字を計上しているだけに、通販事業の立て直しが急務となっているのだ。

■営業益16億円へ

 千趣会の18年12月期業績予想は別表の通り。売上高は前期比1.6%減の1240億円を見込んでいる。「身をかがめてしっかりと赤字体質から脱却する」(星野社長)との方針通り、いったん売上高を落としてコスト構造を見直し、営業黒字の回復を図っていくという計画だ。
 売上高は減少するものの、今期営業利益は16億円の計上を見込んでいる。具体的には売上高の減少に伴い限界利益を11億2200万円に減らす。さらに前期は大きな営業減益要因となった在庫処分、為替、不採算ジャンルを見直しといった一連のマーチャンダイジング(MD)改革で、38億3700万円の改善を計画している。
 佐川急便との運賃交渉によって1億5300万円の損失が発生するが、媒体費の削減による注文獲得費の効率化が19億6900万円、人員減に伴う人件費の削減で10億5400万円、減損による減価償却費の減少で3億5500万円などを計上する予定だ。

(続きは、「日本流通産業新聞」2月15日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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