食品通販・食品宅配の物流課題調査/通販は「30%以上」が8割/配送料値上げの実態明らかに

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 本紙は食品通販・食材宅配企業を対象に、配送会社の運賃の値上げについてアンケート調査を実施した。調査の結果、食品通販では、1.3~1.5倍の値上げになったと回答した企業が全体の85%だった。食材宅配企業でも、値上げがあったと回答した企業は、回答した9社のうち6社(66.7%)に上った。「配送会社と共同で物流システムを開発する」と今後の方針を示した企業もあった。
 食品通販企業では、21社から具体的な回答があった。そのうち、「約30%の値上げとなった」と答えた企業は10社、「50%の値上げ」と答えたのは9社だった。配送地域によっては2倍の値上げとなったケースもあったようだ。「取引停止を含めた交渉を、配送会社との間で現在(10月10日時点)も継続中」とする回答もあった。
 「荷受けの契約条件の変更があった」という企業も21社中14社あった。変更された契約の条件として多かったのが、「繁忙期の出荷量の調整」や「荷物の引き渡し時間の前倒し」だった。カニやおせちなどを販売するスカイネット(本社大阪府、和田陽介社長)では、「繁忙期の出荷量のピーク時には、昨年と比べて出荷量を9割制限された日もあった」としている。「3割程度の運賃の値上げに加えて、DMの発送コストも上昇したことが二重で課題」と話す企業もある。
 「物流の問題について、自社で取り組んでいる改善策」について聞いた質問には、「箱サイズの最小化」(食文化)や「年末配送日の分散」(スカイネット)といった回答が寄せられた。独自の負担減の取り組みが各社で行われているようだ。ただ、各社に詳しく話を聞くと、「配送料の消費者負担や、配達時間の制限を容認するような、社会的な流れが、物流のコスト削減や物流業界の労働問題の改善には必要だ」(ナカヱ・中江稔浩社長)といった見解を示す企業もあった。
 水やお茶などの飲料を通販で販売するナカヱ(本社和歌山県)は、「顧客メリットを一番に考えたいが、同時に顧客にとっての〝許容範囲〟を広げることも考えなければいけない。送料を含めた商品価格を割り切って上昇させることも必要である」(同)とも話している。
(続きは、「日本流通産業新聞」10月12日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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