《「アマゾンジャパン」BtoB通販参入》楽観視する競合企業も/人間関係や専門性で対抗

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アマゾンビジネスは商品ラインアップで他社を圧倒

アマゾンビジネスは商品ラインアップで他社を圧倒

 アマゾンジャパンが9月、法人向け(BtoB)のEC事業に本格的に参入した。対象商品2億品という圧倒的な品ぞろえとサービスは、BtoB通販業界に大きなインパクトを与えそうだ。既存のBtoB通販企業の声を拾うと、アマゾンの業界参入を警戒する企業は少ないようだ。対面での顧客による密なつながりや、専門性を強めていることにアドバンテージがあるとみている。

 アマゾンジャパンは9月20日、法人向けECサービス「Amazon Business(アマゾンビジネス)」を開始した。サービス開始時の取扱商品数は2億品。オフィス用品、工具、カー用品、キッチン用品、実験用品、教科書など、同社が個人向けに販売している商品を法人向けにも販売していく。
 同サービスは特有の機能として、(1)月末締めの請求書払い(2)企業ごとの購買分析レポート(3)企業との承認ルートの設定(4)見積書の作成(5)税抜価格表示ーーーなどを提供。法人向けの割引や、大量に注文があった場合の数量割引も実施するなど、「利便性」「価格」「商品点数」を武器にしていく。
 その商品ジャンルの幅広さから、多くのBtoB通販企業の取扱商品と競合することになりそうだ。

■「影響少ない」の声も

 アマゾンの参入について、アスクルは「メーカーとの共同企画商品を軸にPB(プライベートブランド)戦略で差別化を図っているほか、全国に約1400社ある代理店を通じて主要な顧客と密な関係を築いている。今後もできることを着々とやっていく」と話す。
 通販事業「たのめーる」を展開する大塚商会、カウネット(本社東京)は、「他社の活動についてコメントできない」(両社広報)としている。
 アマゾンビジネスの取扱商品数が2億品であるのに対し、アスクルの商品数は約370万点。今期中に500万点に増やす計画だが、アマゾンビジネスの商品数の差についてどうみているのか。アスクルでは「購入頻度が多いのはカタログに掲載している約3万商品」(同社)と説明し、アマゾンの商品点数だけが強みになるわけではないとの考えを示した。
 アマゾンビジネスは脅威ではないという声もある。
 オフィス用品を通販展開するA社は、「購買管理機能を充実させるなど、アマゾンビジネスは大手企業の顧客獲得から着手すると見ている。当社の主な顧客層は中小企業。油断しているわけではないが、大きな影響はないだろう」(同社)と話している。

(続きは、「日本流通産業新聞」9月28日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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