化粧品通販2社のプロモーション/トライアルとSNSが鍵に/新規獲得、ファン化、主力商材のシフトで

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decenciaが定期顧客向けに送ったトライアルセット

 ポーラ・オルビスホールディングスの子会社で、敏感肌化粧品を販売するdecencia(本社東京都、小林琢磨社長)は11月1日、売り上げの7割を占める主力化粧品ライン「アヤナス」をフルリニューアルした。決済代行のパスの子会社で化粧品通販のマードゥレクス(本社東京都、前田一人社長)は、ブランドの再構築を見据えながら、スキンケアの強化と顧客層のシフトに向けた施策を発動させている。大きく方向転換している中堅通販2社の施策には、顧客のファン化や新規顧客の獲得に向けた「トライアルセットの活用」と「SNSの拡散」という共通キーワードが見えてきた。


■感肌顧客の不安払しょく

 decenciaがリニューアルした「アヤナス」は、成分だけでなく容器やロゴも刷新。中身がなくなるとレフィルで入れ替える設計とし、容器と中身を一緒に購入する初回は従来よりもやや高い価格設定とした。
 従来は優しさをイメージした曲線で淡いピンクの容器、丸みのある字体のロゴとしていたが、赤色でシャープな容器とロゴの字体に刷新した。
 「赤色は炎症を連想させるため、敏感肌化粧品ではあまり使われていない」(CRM統括部山下慶子部長)という。しかし、「敏感肌へのやさしさ」だけでなく、「敏感肌は、どこまでも美しくなれる」という攻めのコンセプトのもと、従来の概念を覆すデザインとした。
 ただ、敏感肌専門ブランドのため、「やっと肌に合う化粧品にたどり着いた」という顧客も多く、一般的な化粧品よりリニューアルには否定的な意見を持たれやすいという懸念もあった。
 定期顧客の離脱を防ぐために、リニューアルに対する不安を払しょくし、期待を高めていく必要があった。このため、6月に記者発表会を開催して以降、顧客向けイベントなどで情報を徐々に出しながら、期待を高めてきた。
 decenciaは07年の創業当初から顧客向けイベントを積極的に開催している。特に新商品を発売する際は使用量や使用方法を正しく伝えるために必ず開催している。
 正しく使用しなければ効果が高められないだけでなく、化粧品は使用量が少なくなりがちのため、「まだ余っているから」という理由で定期購入を解約するケースが多いからだ。使用方法のハウツー動画も制作し、会報誌には動画サイトに遷移するQRコードも載せた。


■継続率は対目標の約2倍

 定期顧客にリニューアルをポジティブに捉えてもらうための施策として、最も効果を感じたのは、9月に定期顧客全員に送ったトライアルセットだ。
 高級感のあるグレーの箱の中に、10日間のトライアルセットと「大切なお客さまへ」と書かれたメッセージカード、ブランドのイメージブック、使用方法や価格を説明する冊子を入れた。
 箱を開けた瞬間にトライアルが届いたことがひと目で分り、その後メッセージカードとイメージブックでまず顧客の感性に訴えかけ、最後に使用方法の冊子で理性に訴えかける設計とした。リニューアルへの期待を高めてから、価格の変更などを伝える流れだ。
 冊子の印刷も特殊な技術を用いて細部までこだわった。コストはかかったものの、届いた定期顧客からの反応は十分に見合うものだった。
 懸念していた定期顧客からの否定的な意見はほとんどなく、問い合わせは「お届け日をリニューアル後の日程に変更したい」「定期購入を解約しようと思っていたが、トライアルを使って継続したいと思った」といった内容が多かった。
 さらに、トライアルセットが届いた顧客が、自発的にSNSに写真付きでアップする行動が多く見られた。「ますますリピートしたくなった」「リニューアルが楽しみ」というコメントが投稿されたという。箱を開けたときの第一印象を大事にしたことで、SNSにアップしたいと思われたようだ。
 リニューアルの効果について具体的な数字は非公表だが、継続率は同社の目標に比べ88%高かったという。

(続きは、「日本流通産業新聞」11月10日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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