【「通販・EC市場規模調査」に見る業界動向】EC市場に成熟の影/”EC化率の伸び”から不調脱却の指摘も(2025年9月4日号)

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 経済産業省(経産省)は8月26日、「令和6年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」を発表した。さらに公益社団法人日本通信販売協会(JADMA、本部東京都、梶原健司会長)は同28日、「2024年度 通販市場売上高調査」の速報値を発表した。両調査とも通販・EC市場は拡大を続けていることを示している。しかし、成長率に目を向けると、その数値は”落ち着き”を見せている。これをコロナ禍の反動が続いていると見るか、通販・EC市場の成熟化が始まっていると見るか。専門家の見解をもとに、市場規模調査のデータを深読みする。

 24年度の国内BtoC―EC(消費者向け電子商取引)の市場規模は前年比5.1%増の26兆1225億円だった。物販系分野は同3.70%増の15兆2194億円となり、伸び率は前年の4.83%を下回った。2年連続で5%を切る形となった。
 一方、JADMAが調査した会員・非会員を含めた有力通販・EC企業の通販売上高の総計は、同7.3%増の14兆5500億円となった。伸び率は前年を0.6ポイント上回る結果となっている。
 両調査の違いはまず、経産省がカタログやテレビショッピングなどを除くECのみを対象しており、JADMAはカタログやテレビショッピングを含む通販・ECを対象としている点が挙げられる。
 さらに大きなポイントとして、経産省がEC市場全体の規模を推計しているのに比べ、JADMAは会員企業の物販を中心とした通販・EC企業の売上高に加え、392社の有力企業の売上高をもとに推計している。
 JADMAの会員企業も大手企業が多いことから、推計のベースが大手・有力企業の売上実績となっている。経産省の調査データは、中小企業も含む全体の実績を推計している。経産省調査の市場規模の伸び率が5%を切り、JADMA調査の市場規模の伸び率が7%台になっている違いを見ると、大手・有力企業の方が比較的、堅調に事業成長を続けていると見ることができる。


■EC化率の伸び率に着目

 経産省のEC市場規模調査の内容を深読みしてみる

(続きは、「日本流通産業新聞 9月4日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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