24年12月の改正大麻取締法の施行をきっかけに、大きく変わりつつあるCBDの通販市場。法改正直後は、厳しい基準値に対応できない事業者の撤退が相次ぎ、事業者の数が大幅に減少した。現在は事業者数も回復傾向にあるようだ。業界内で、次なる課題として浮上しているのが「検査の質の統一」と「高配合製品への対応」だ。残留THCの厳格な基準値はあるものの、検査の精度はまちまち。検査をクリアしても、「どのレベルで検査をしたのか」と疑問視されることが少なくない。現在、CBD市場では「高配合製品」が人気となっているが、「市場のリスク要因になる」と不安視する事業者が多いようだ。8月にはCBD関連の国内事業者の、計八つの業界団体が連盟を発足。「業界の健全化」を目指す動きを活発化させている。現状の課題を一つずつ解決していくことが、CBD市場が次のステップへ進む上で、近道といえそうだ。
■販売企業は展開を加速
法改正から半年以上がたち、市場の状況は落ち着いてきている。そんな中、CBD販売の各社は展開を加速させている。
CBDブランド「CANNA(カンナ)」を展開するアッツ(本社大阪府)は25年3月、スピードスケートの元オリンピック選手である高木菜那氏を公式アンバサダーに迎えた。6月には元プロ野球選手の糸井義男氏を交えたトークイベントを、オフラインで開催した。
7月には、プロバスケットボール「B.LEAGUE(ビーリーグ)」のチーム「大阪エヴェッサ」とパートナー契約を締結。同社は過去に、関西でテレビCMを放送しており、これまでのCBD業界では見られなかったような形で、ブランド認知の拡大を図っている。
「スポーツ×CBD」といった取り組みは、CANLIFE(カンライフ、本社東京都)でも行っている。
同社では、アスリート向けのCBD製品を展開しており、販売するマッサージオイルやサプリメントは、米国でドーピング認証を取得している。「プロアスリートも使用する」という品質の高さが信頼につながっているようだ。
「野球やサッカー、トランポリンなど、10人以上のアスリートに使ってもらっている。最近では、甲子園を目指す高校の野球部にも使ってもらえるようになった」(原口孝志社長)と話す。
CannaTech(キャナテック、本社神奈川県)では現在、出資している企業と、高吸収化CBD製剤の開発を進めており、特許も申請中だという。「高吸収化CBDの商業的な展開を、26年中に開始することを目指している。26年には新工場の稼働も予定している。新たな原料と工場で、自社製造できる商品の幅は、大きく広がるはずだ」(須藤晃通社長)と話す。
Leep(リープ、本社東京都)では、開発の担当者が、麻薬研究者の資格を取得。研究機器もそろえ、自社で検査できる体制を整えたという。「最終的な検査は、検査機関に依頼するが、開発の段階で都度依頼するのは、手間とコストがかかる。自社で検査を行うことにより、商品開発のスピードを早めることを目指している」(鶴田大貴社長)としている。
■高配合製品を不安視
販売企業が新たな展開を加速する一方、業界では不安材料も出てきている。その一つが高配合製品の安全性の問題だ。
(続きは、「日本流通産業新聞 8月21日号で)
【CBD通販市場】「検査」「高配合」が課題/8月には団体連盟が発足(2025年8月21日号)
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