【”ゲーミフィケーション”で成長加速】「ついやってしまう」演出加える/データ収集やロイヤルティー向上に効果(2025年7月17日号)

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セガ エックスディー 伊藤真人COO

セガ エックスディー 伊藤真人COO

 EC・通販業界の競争は今も激しく、気候変動や物価高など外部環境も厳しい。中長期目線での顧客との関係構築やLTV向上に向けて、新たな施策を必要とする事業者が目立つ。各社がすでに磨き続けている商品力やコミュニケーションスキルに加え、「ついやってしまう」ゲームの要素を取り入れたマーケティング手法である「ゲーミフィケーション」を実践することで、成長を加速することができそうだ。EC業界におけるゲーミフィケーションの成功事例や、取り入れ方について取材した。

■30年に市場規模4倍

 ゲーミフィケーションとは、ゲームのメカニズムやゲームデザイン要素を非ゲームの分野に応用することを意味する。ユーザーのモチベーションやロイヤルティーを高め、その行動に影響を及ぼすことを期待できる。
 ゲーミフィケーションの解釈はさまざまだが、支援を手がけるセガ エックスディー(本社東京都、谷英高CEO)によると、概ね共通して認識される手法は大きく分けて「ゴール(目的)」「ミッション(課題)」「リワード(報酬)」「ビジュアライズ(可視化)」「コミュニケーション(交流)」の五つがあるという。EC・通販業界においては、会員制度などで定番となっている「ポイント」や「ランク」もゲーミフィケーション活用法の一つだ。
 同社などが実施した調査によると、ゲーミフィケーションの活用事業者と提供事業者による市場規模は、30年には24年度と比較して約4倍に当たる6619億円になると予測している。
 EC・通販業界におけるゲーミフィケーションのニーズについて、「20年前後のDXの潮流の中でアプリやECを作った事業者を中心に、他社との差別化が難しく、どのように”使いたくなる”価値を生み出すことができるかを悩む声が多い。特に既存の顧客を大切にして長期的な関係性を構築していくうえで、ロイヤルティー向上のニーズが高くなっていると感じる。利便性やお得さが同質化していく中で、共感性や粘着性の必要性が高まっているといえる」(セガ エックスディー取締役執行役員・伊藤真人COO)と説明した。


■感情を高める”演出”

 40~50代女性をメインターゲットとし、食品や日用品を販売するカウシェ(本社東京都、門奈剣平CEO)が好調だ。20年にサービスを開始して以来、成長を続けている。
 今年5月、アプリのダウンロード数が累計400万件を突破した。23年9月と比較し、25年5月のGMV(流通総額)は約25倍、売上総利益は約90倍となっている。

(続きは、「日本流通産業新聞」 7月17日号で)

カウシェの門奈剣平CEO(写真右)、山田悠太郎COO

カウシェの門奈剣平CEO(写真右)、山田悠太郎COO

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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