住設訪販企業の営業手法がここ数年で大きく変化している。これまで住設訪販は、対面の営業力を武器にドアツードアなどダイレクトセールス(以下、DS)で事業を伸ばしてきた。しかしここ数年は、不実告知や迷惑勧誘といった特定商取引法違反による業務停止命令などの行政処分が相次いだ。そこに追い打ちをかけたのが、いわゆる闇バイト問題だ。消費者が訪問営業を今まで以上に警戒したことで、影響が各社を直撃している。時代の変化に企業側も営業手法を変えつつ、単純な物販に留まらず収益を担保するための動きが目立つ。通販・ECの住設販売が住設訪販領域と営業が被り始めており、住設訪販の経営環境はより厳しくなりそうだ。
■効率と生産が軸に
各社が営業手法を変えようと試行錯誤を重ねるのは生産性を向上させるためだ。
ドアツードアやテレアポで訪問のアポイントが取れる確率が、以前と比べて格段に低くなっているという。確率の低下をカバーするには訪問回数を増やすしかなく、生産性は落ち、契約獲得に至るまでのコストが上昇しているのが現状だ。
訪問営業のみでの成果を上げにくい現状を打破するため、DSに加えて、催事販売やアライアンス(BtoBtoC)を活用した営業にかじを切る訪販が目立つ。
営業手法の転換は、営業社員の負担軽減と成果のつながりやすさにつながっている。営業活動での成功体験を早めに提供することが、営業社員のモチベーションアップにもつながるとみて切り替えた企業もある。また、あえてDSを軸とした営業から脱却して違う手法で攻勢を図ろうと試みるケースも出てきた。属人的な営業を主力とする経営から、確実に契約が取れる体制に移行するのが今の住設訪販のトレンドだ。
営業面の難しさだけでなく、原価や販管費が増加傾向にある。原材料高騰による販売商材の値上げや人件費の高騰は、営業社員を根幹に据える住設訪販の経営に大きな負担となる。特に、新卒を採用する住設各社の新卒初任給は、毎年上げざるを得ない状況だという。
初任給について住設経営者に聞いたところ、「25万円以上」「25万円+プラスアルファ」との回答が多かった。直近数年の上昇幅は「2万円以上」「3万円以上」と回答した経営者もいた。
住設訪販の醍醐味が営業力であることは十分理解しており、日々のトレーニングで強化しようと試みてはいるが、成果やモチベーション、販管費の上昇を考慮して、営業効率と生産性を重視した経営に大きく転換しつつある。
■収益比率を均等に
近年、収益と利益の増加を目的とした事業の多角化、営業手法の多角化が進む。
(続きは、「日本流通産業新聞 7月10日号で)
【住設訪販企業】収益性を担保する経営にシフト/営業手法は催事やアライアンスが主に/通販・ECの住設会社も競合に(2025年7月10日号)
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