26年に、機能性表示食品の届け出や、製造の現場がひっ迫する恐れが出てきている。小林製薬の紅麹問題の流れを受けて、機能性表示食品の届け出の制度が改正され、26年8月までに、パッケージ表示を見直すことが求められることとなった。容器の目立つ部分に、「機能性表示食品」と表示し枠で囲むことなどが義務付けられた。一方、25年4月1日には、SRによる届け出資料の、透明性と信頼性を確保する目的で、「PRISMA(プリズマ)声明2020」に準拠した届け出が必須となった。表示事項の変更に伴うパッケージの見直しと、「PRISMA2020」への変更を、同時にやってしまおうという事業者も多いようだ。大手健康食品メーカー複数社に取材したところ、25年6月ごろから26年にかけて、「順次届け出を行っていく」と話す事業者が複数あった。大手・中堅事業者も含め、機能性表示食品を販売する事業者がこぞって変更届けや、新しいパッケージの容器の製造の発注を行うことになりそうだ。表示改変の期限である26年8月に向けて、容器メーカーやOEMの製造ラインがひっ迫する可能性がある。機能性表示食品を扱う事業者は、早目の対応が求められそうだ。
■大手は6月ごろから順次対応
大手健康食品通販メーカー数社に、パッケージの見直しについて取材したところ、各社が変更届の提出に向けて動いていることが分かった。今年6月ごろから変更届けの提出の動きが活発化しそうだ。
大手健康食品・化粧品通販のディーエイチシー(DHC、本社東京都、宮崎緑社長)では、「当社の機能性表示食品全製品の変更届けの受理を、猶予期間(26年8月末まで)に完了させるべく、遅くとも秋までには順次、変更届けの提出を行う見込みだ」(マーケティング統括ユニット健康食品グループ岡田康宏課長)と話している。
大手食品メーカーA社の健康食品通販部門では、「適切な表示の判断基準などの情報が出そろい次第、社内ルールを整備した上で、25年下半期~26年上半期ごろをめどに、パッケージや各種販促物の切り替え対応を行っていく」(商品開発担当)としている。
別の大手健康食品通販B社では、「25年6月ごろから、順次変更届の提出を開始していく予定となっている」(広報担当)と話している。
■「言い切り」は禁止に
機能性表示食品のパッケージの見直しは、24年9月1日に食品表示基準が改正され、施行された。26年8月末までを猶予期間とし、26年9月1日から、新しいパッケージの表示が完全施行される。
パッケージの見直しでは、届け出表示の一部を切り取った、いわゆる「言い切り型」の表示は原則として禁止される。「本品には○○(成分名)が含まれます。○○には××(機能性)が報告されています」といった、正確な表示が求められることになる。消費者が「商品に機能性がある」と誤解することがないように、「~の機能が報告されています」などと表示することで、あくまで成分の機能性であることを明確に表示することが求められる。
「~が報告されている」の言いかえとしては、「~が発表されている」「~が論文に掲載されている」「研究報告がある」といった表現が、消費者庁の資料で推奨されている。
パッケージでは、「機能性表示食品」の文字を四角い枠で囲み、おおむね上部に見えるように視認性を確保することも求められている。
「複数の機能性関与成分が含まれている場合、それぞれの成分とそれぞれの機能性が一体的に示されるべきである」ともしている。
例えば、「GABAには○○し、××の改善に役立つ、難消化性デキストリンには△△を助け、□□しやすくする、イヌリンには●●を改善する機能があることが報告されている」のように表示する必要がある。
これまで販売されてきた人気の機能性表示食品の中には、「おなかの脂肪が減少する」などの機能性だけがパッケージの中央に大きく表示され、成分が隅に小さく表示されているケースも多かった。それはNGの表示となる。
(続きは、「日本流通産業新聞 5月15日号で)
【機能性表示食品】26年に届出・製造がひっ迫の恐れ/容器表示見直しと「PRISMA2020」で(2025年5月15日号)
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