CBDの通販市場が大きく変わりつつある。24年12月の改正大麻取締法の施行がきっかけだ。改正大麻取締法では、世界的に見ても低い「THCの上限値」が設定された。新規制で示された数値に対応できず、CBD事業から撤退する企業も相次いでいる。CBD製品のブランド数が最盛期の3分の1以下になったという調査報告も出ているようだ。一方、CBD原料を扱う、販売会社やOEM会社からは、「大手企業からの問い合わせや依頼が増加傾向にある」といった声が聞かれるようになっている。2025年後半から26年にかけて、CBD製品を発売する企業が増えると予測する声も多いようだ。新基準に対応できる原料や商品を検査できる機関を探す企業が多くみられるようになっている。「原料供給先」「検査機関」が、CBD市場のキーワードになっている。
■世界水準でも低い基準値
改正大麻取締法では、THCの残留上限値が定められた。「油脂(常温で液体であるものに限る)」「粉末」の場合は10ppm(0.001%)、「水溶液」は0.1ppm(0.00001%)と定められた。
THCの上限値について、米国は0.3%、英国やフランスは0.2%と定めている。多くの国が0.2~1.0%を上限値とする中、日本の基準値は群を抜いて低い数値となっている。
CBD関連の、メディアやイベントの運営を行うAsabis(アサビス)の中澤亮太代表は、「各事業者が持っている低濃度の商品について、新規制に基づく検査を行ったところ、クリアしていたのは3分の1ほどだった。ベイプに関しては、ほとんどの商品がアウトだった」と言う。中澤氏によると、法改正後、CBD製品のブランド数は、最盛期の3分の1ほどになったそうだ。
中澤氏はCBDの国内市場の現状について、「今のところ、売れている販売事業者でも年商10億円がやっとで、市場規模はまだまだ小さい。大正製薬などの大手の参入はあったものの、まだまだ様子見の企業も多い」と話す。一方、今後は大手の参入が進み市場が拡大すると見ているようだ。「国内の大手企業の中には、海外で大麻関連事業を展開していたり、大麻関連の企業に投資したりしている企業も少なくない。国内での方向性が見えてくれば、そういった企業も、国内での展開を開始するのではないか」としていた。
■アマゾンは3月以降に商品削除
アマゾンでは、改正大麻取締法の施行を受け、CBD製品をアマゾンに出品している事業者に対し、成分分析結果の提出を求める取り組みを始めているという。
分析結果として、THCの残留値が分かる書類を、ASIN(エーエスアイエヌ、アマゾン組織内で製品を識別するために割り当てられる識別子)ごとに提出する必要があるとしている。新規の出品はもちろんのこと、現在出品中の商品についても、再申請が必要だという。審査を通過しなかった商品や、再申請がない商品については、25年3月以降に、商品が削除されるとしている。
(続きは、「日本流通産業新聞 2月6日号で)
【CBDの通販市場が変革期に】キーワードは「原料」と「検査」/アマゾンは分析結果必須に(2025年2月6日号)
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