食品宅配大手企業/顧客ターゲットを明確に巻き返しへ/テレビCM開始で認知向上も

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創業40周年を機にブランドロゴを変更

創業40周年を機にブランドロゴを変更

 食品宅配大手が、新たな市場の開拓を目的にテレビCMでブランディングを強化したり、ネット通販(EC)を本格化する動きが活発化している。創業40周年を迎えた業界最大手のヨシケイグループは4月1日にブランドロゴをリニューアルし、働く女性をターゲットにした夕食食材セット「ラビュ」を市場投入する。タイヘイは今年1月から、新商品の夕食食材セットを開発し、エリア限定のよるネット通販を始めた。ファミリー層を取り込むことで成長を遂げてきた食品宅配業界だが、オイシックスに代表されるECや生協などに押される形で、苦戦を強いられている。大手各社はブランディング強化や販路の多様化で巻き返しを狙っていく。

 夕食食材業界、競争が激化

 食品宅配業界は、野菜や肉などの食材があらかじめカットされた「夕食食材セット」を主力商品に市場を拡大してきた。自社で配送員を抱え、毎日食材を自宅に届ける対面販売のビジネスモデルは他社にとって参入障壁が高かったため、これまで競合が少なかったことから長年、安定的に成長を遂げてきた。
 しかし、単身世帯の増加、ライフスタイルの変化に伴い、在宅率が低下したり、ネット通販の台頭により、ここ数年は成長が鈍化している。
 夕食食材セットの成長は頭打ちと思われていた業界に新たに参入にしてきたのがオイシックス、らでぃっしゅぼーや、生協などだ。
 オイシックスでは13年に発売した「きっとおいしっくす」の定期購入会員数が、15年4―12月期(第3四半期)までで2万7000人に達し、累計200万食を販売。らでぃっしゅぼーやは、14年6月に販売を開始した献立キットが30~44歳の子育て世帯の会員購入率が全体の3割を占め、着実に市場のニーズを捉えている。
 こうした企業に市場を奪われたヨシケイやタイヘイといった老舗宅配企業は販売戦略の変更を余儀なくされた。

ヨシケイ、ワーママ世代を取り込み

 「ヨシケイは親しみやすいという安心感がある一方で、老舗感が古臭いというイメージがある」
 3月16日に静岡市内のホテルで開催した創業40周年記念式典の席上、ヨシケイ開発の林雅広社長はこう説明した。
 ヨシケイグループは、1975年に静岡県で創業した。現在、全国に66のフランチャイズ(FC)を展開し、グループ売上高は800億円、営業スタッフ約4100人、顧客数50万世帯と業界最大手に成長した。だが、時代の変化とともに、ヨシケイ埼玉やオーシャンシステムといったFC大手の減収傾向に歯止めがかからず、打開策に打ち出すことが喫緊の課題となっていた。
 ヨシケイ開発では、こうしたFCの現状を打開するために、創業40周年を機にブランドロゴを変更した=写真。これを機に働く女性をターゲットにした新商品「ラビュ」を投入することで、競合他社に奪われている若年層の顧客の取り込みを狙うことにした。
 5月30日に投入する新商品「ラビュ」は、料理教室「ABCクッキングスタジオ」の創業メンバーの1人、志村なるみ氏をアドバイザーに招き、商品開発を行った。5日・6日分のセットメニューを用意した。

(続きは日本流通産業新聞3月24日号で)

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記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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