頒布会が多様化/定着化、LTVの向上に成功/イベント、動画、キュレーター活用で

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「SAKELLIFE」のリアルイベントには20〜30代も多く参加

「SAKELLIFE」のリアルイベントには20〜30代も多く参加

定期的にお薦め商品を送る頒布会モデルの事業が多様化している。化粧品会社では定期購入において「3回以上継続した人はその後の離脱率が減少する」というデータもある中、頒布会モデルでも同様の傾向が見られている。各社は入会直後に動画やノベルティーなどを使って「会員になってよかった」と、モチベーションを上げて顧客を定着化させるよう努めている。このほか、LTV向上を図るため、商品に関連したリアルイベントを積極的に開催する事例も出ている。

一気に会員数増やさず質を向上
 エアークローゼット(本社東京都、天沼聰社長)が提供する女性向け月額制ファッションレンタルサービス「airCloset」は、設立から約1年半がたった現在、無料会員と有料会員を合わせて、会員登録者数が7万5000人超に拡大している。
 コンセプトは「新しい服との出会い」。一般的なパーティー服や式服のレンタル業とは違い、毎回どういう服が届くか分からない仕組み。ワクワクして楽しいと感じられることが、多くの顧客の心をつかむ大きなポイントとなっている。
 有料会員の月額利用料は6800円(税別)。最初にサイズを登録し、いくつかのコーディネート写真から自分の好みのファッションに近い画像を選択する。それに合わせてスタイリストがジャケット、トップス、スカートなどトータルコーディネートができる3着を選定している。
 5000~3万円程度の服を送っており、気に入った服は購入できる。気に入らなかった服は返品すると新しい服が送られてくる。
 有料会員数は非公表だが、数が限られているため、有料会員になりたいと思っている無料会員は多いという。「ファッションを楽しんでほしい。好みに合う服を提供できるようスタイリングの精度を高めるため、一気に会員数を増やさない方針」(天沼社長)と話す。
 自社で抱えるスタイリストのほか、雑誌、オンラインメディア、テレビ局で活躍するスタイリストなどが、クラウドソーシングで空いた時間にスタイリングを手掛けている。
 提携しているブランド数は現在200以上。ブランドは自社製品の訴求ができ、スタイリストにとっては新しいキャリアが築けるというそれぞれの利点がある。その上で、会員は新しい服と出会うことができる仕組みとなる。
 今年1月には寺田倉庫(本社東京都)や、クリーニング大手の「ホワイト急便」を展開する中園ホールディングス(本社熊本県)などから約10億円の資金調達を受けた。返品された服のメンテナンスの質を向上させていく計画だ。
 このほか、昨年5月に事業譲渡されたアクセサリーのレンタルサービスのノウハウを生かし、アクセサリーもレンタルアイテムに加えていきたいと考えている。
 現在はレディースファッションのみの取り扱いで、30代半ばの女性がボリューム層だが、将来的にはキッズ、メンズ、マタニティー、シニアなどにも展開を広げていきたいという。

(続きは「日本流通産業新聞」3月17日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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