楽天グループ 23年1―9月期/流通総額は4.4兆円/駆け込み需要でふるさと納税拡大/モバイルとシナジー強化(2023年11月23日号)

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決算説明会で登壇した三木谷浩史社長

決算説明会で登壇した三木谷浩史社長

 楽天グループ(楽天)の23年1―9月期(第3四半期)における国内EC流通総額は、前年同期比12.6%増の4兆4417億円になった。23年7―9月期(純第3四半期)は同15.7%増の1兆5721億円だった。ふるさと納税のルール変更に伴う駆け込み需要や、アフターコロナで「楽天トラベル」が好調に推移したことが、流通総額拡大に寄与したという。
 「楽天市場」は23年10月以降のルール変更を受け、多くのユーザーがふるさと納税の利用を前倒したことにより、純第3四半の流通総額が二桁成長となった。「楽天トラベル」は夏の商戦期の需要を取り込み、純第3四半期の国内宿泊流通総額は、コロナ禍前の19年第3四半期と比べても39.6%増と拡大している。
 三木谷浩史社長は、「脱コロナということで昨年までも(流通総額は)結構あったが、それでも(純第3四半期の)国内EC流通総額が15.7%増となり、トラベルが(19年純第3四半期比で)約40%増と伸びている」と力強い成長を強調した。
 「楽天モバイル」の契約回線数は542万件にまで増加した。通信の品質向上やマーケティングの強化により、解約率が低下し、契約数が拡大している。増加基調を維持し、24年末までに800万~1000万件の契約数を目指している。
 将来的に「楽天モバイル」が楽天エコシステムの中心的な存在になるとみている。「楽天モバイル」と「楽天市場」などのグループサービスのシナジーは今後、さらに強化する方針だ。
 シナジー強化の一環として、「楽天スーパーポイントアッププログラム(SPU)」の条件を変更し、今年12月から楽天モバイルユーザーのポイント付与率を毎日5倍にする。
 三木谷社長は、「毎日5倍付くのはかなり魅力的になる。将来的に1500万~2000万人が楽天モバイルを使うようになると、それだけで『楽天市場』の流通総額が30~50%上がっていくことになる。モバイルとのシナジーは大きい」と話した。
 楽天モバイルユーザー(1年以上の利用者)による「楽天市場」の流通総額は、年間で60%増加するというデータもある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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