〈消費者裁判手続特例法〉 改正法10月から施行/団体の活動がより活発に(2023年10月19日号)

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 内閣総理大臣の認定を受けた特定適格消費者団体が、消費者に代わって被害の集団的な回復を求めることができる「消費者裁判手続特例法」の改正法が23年10月1日から施行した。
 改正の概要は、被害を救済しやすくし、消費者が利用しやすい制度へと進化させたもので、制度を担う団体も活動しやすい環境を整備した。23年8月時点で、特定適格消費者団体は4団体。
 改正された項目は複数あり、内容によっては訴訟の大小に関わらず、事業者に対する損害が大きくなる可能性もある。事業者は今後の営業活動において注意が必要になる。


■慰謝料と個人が追加

 訴訟は、一段階目から二段階目へのフローを踏んで進められる。
 一段階目は、共通義務確認訴訟として、事業者が消費者に対して責任を負うか否かを判断される。財産的損害が対象となるが、改正後は「一定の慰謝料」が追加される。一定の慰謝料とは、「財産的損害と併せて請求の場合」「故意による場合」に適用される。
 慰謝料の請求は、これまで裁判になじまないことを理由に除外されていた。「制度として初めて設計することもあり、厳格に設計している」(消費者庁消費者制度課・担当者)と話す。慰謝料の金額については「損害賠償請求権が前提となり、それに応じた額となる」(同)としている。
 同様に、訴訟手続の中で被告側の対象となるのはこれまで事業者(個人事業主含む)だけだったが、今回の改正により個人も追加される。補足事項として、「悪質商法に関与した事業監督者・被用者を想定」と明記した。
 ここで記されている「悪徳商法」は、条文で明記されていないが、事業者による故意・重過失があることが前提になるとした。「事業者に故意・重過失があり、これらを把握していながらも、事業の監督者として対応していた場合は、その監督者個人が対象となる」(同)と説明している。
 個人の追加は、近年、増えている悪徳商法や詐欺などが背景にある。加えて、法人を作っただけで、従事する人はどこかに逃げるケースが多いことも理由に挙げた。個人を対象にすることで、悪徳商法や詐欺の被害を減らしていく考えだ。


■情報提供は早期に

 消費者裁判手続特例法の改正は、消費者への情報提供方法の充実も含まれる。

(続きは、「日本流通産業新聞」10月19日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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